ラパチニブトシル酸塩水和物

成分名

ラパチニブトシル酸塩水和物

適応症状

HER2過剰発現が確認された手術不能又は再発乳がんなど

簡易説明

ラパチニブトシル酸塩水和物は、細胞増殖に関わる上皮成長因子受容体のEGFR及びHER2のチロシンキナーゼ活性を阻害するはたらきがあり、がん細胞の増殖を抑えることで抗腫瘍効果をあらわす薬剤です。
一般に単独ではなく、フッ化ピリミジン系の代謝拮抗薬カペシタビンまたはホルモン系に作用するアロマターゼ阻害薬と併用します。

処方可能な診療科目

内科/循環器科/婦人科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安 :約1000円~5000円程度
薬代1錠あたりの目安:250mg約1697円
※病院によって差が有ります。初診料・診察料・検査料などが必要です。

厚生労働省による認可、または発売年月日

販売開始年月 : 2009年6月

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

【製薬メーカー:ノバルティスファーマ】
タイケルブ錠250mg

関連製品(ジェネリック)

なし

海外での使用実績

ラパチニブトシル酸塩水和物について、アメリカでは2007年3月に承認されており、欧州では2008年6月に承認されています。

効果・作用

ラパチニブトシル酸塩水和物は、細胞増殖に関わる上皮成長因子受容体のEGFR及びHER2のチロシンキナーゼ活性を阻害するはたらきがある薬です。
がん細胞の増殖を抑えることで抗腫瘍効果をあらわし、一般的には単独では使用するものではなく、フッ化ピリミジン系の代謝拮抗薬カペシタビンまたはホルモン系に作用するアロマターゼ阻害薬と併用します。
がんは無秩序な増殖を繰り返し、正常な細胞を障害し転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖します。
細胞増殖のシグナル(信号)を伝達する上で重要となるチロシンキナーゼという酵素があり、皮膚の表面の細胞では上皮成長因子受容体(EGFR:ErbB1)というチロシンキナーゼ活性を持つ受容体に上皮成長因子が結合し活性化され伝達により細胞増殖がおこります。
この増殖因子受容体に異常がおこることで、がん細胞の増殖がおこるとされており、ErbBファミリー(EGFRに類似した構造をもつ物質)にはEGFRの他、HER2(ErbB2)などがありますが、この内EGFRとHER2の過剰発現が、がんの予後などに影響します。
本剤はEGFR及びHER2のチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖を抑えることで抗腫瘍作用をあらわします。

使用方法

成人にはラパチニブとしてカペシタビンとの併用であれば1250mg、アロマターゼ阻害剤との併用であれば1500mgの用量を1日1回、食事の1時間以上前又は食後1時間以降に経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量します。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行ってください。

重大な副作用
著しいAST増加/著しいALT増加/著しいγ-GTP増加/著しいALP増加/著しい血中ビリルビン増加/重篤な肝機能障害/脱水症状/左室駆出率低下/多形紅斑/重度皮膚障害/間質性肺疾患/間質性肺炎/肺臓炎/心不全/重篤な心障害/重度下痢/QT間隔延長/中毒性表皮壊死融解症/Toxic Epidermal Necrolysis/TEN/皮膚粘膜眼症候群/Stevens-Johnson症候群など

その他の副作用
口内乾燥/便秘/口腔内潰瘍/胃食道逆流性疾患/腹部膨満/鼓腸/放屁/ひび/頭痛/錯感覚/手掌・足底発赤知覚不全症候群/発疹/爪障害/皮膚乾燥/皮膚そう痒症/脱毛症/ざ瘡/ざ瘡様皮膚炎/皮膚炎/皮膚亀裂/あかぎれ/爪破損/皮膚色素過剰/皮膚剥脱/爪毒性/疼痛/疲労/無力症/粘膜炎症/浮腫/発熱/末梢性浮腫/粘膜乾燥/悪寒/味覚異常/嗜眠/末梢性ニューロパチー/浮動性めまい/感覚鈍麻/食欲減退/食欲不振/低カリウム血症/四肢痛/背部痛/筋痙縮/筋痛/鼻出血/呼吸困難/鼻乾燥/咳嗽/爪囲炎/限局性感染/爪感染/上気道感染/口腔カンジダ症/駆出率減少/血中アルカリホスファターゼ増加/体重減少/眼乾燥/結膜炎/流涙増加/好中球減少症/好中球数減少/白血球減少症/白血球数減少/貧血/不眠症/高ビリルビン血症/ほてり/心室機能不全/皮膚裂傷/回転性めまい/皮膚障害/壊死/嚥下障害/痔核/口唇ひび割れ/口唇乾燥/歯肉炎/舌痛/胃炎/口唇水疱/歯肉痛/アフタ性口内炎/口唇炎/口唇潰瘍/消化器痛/大腸炎/レッチング/胃腸炎/口腔咽頭痛/不快感/爪甲離床症/斑状皮疹/剥脱性発疹/斑状丘疹状皮疹/皮膚病変/皮膚疼痛/痂皮/紅斑性皮疹/多汗症/全身性皮疹/皮膚変色/乾皮症/皮膚刺激/皮膚潰瘍/毛髪成長異常/手掌紅斑/皮膚水疱/皮膚過角化/皮膚色素沈着障害/皮膚斑/皮膚肥厚/腋窩痛/治癒不良/顔面浮腫/末梢性感覚ニューロパチー/異常感覚/知覚過敏/血管迷走神経性失神/神経毒性/嗅覚錯誤/神経痛/低ナトリウム血症/ラクトース不耐性/低蛋白血症/関節痛/筋骨格硬直/骨痛/関節硬直/四肢不快感/鼻部不快感/鼻潰瘍/アレルギー性鼻炎/鼻炎/肺塞栓症/鼻漏/副鼻腔障害/喘息/感染/真菌感染/皮膚感染/足部白癬/尿路感染/鼻咽頭炎/膀胱炎/インフルエンザ様疾患/耳感染/大腸菌性敗血症/ヘモグロビン減少/腎クレアチニン・クリアランス減少/血中クレアチニン増加/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加/血中クレアチニン異常/血中クレアチン異常/視覚障害/霧視/眼刺激/角膜炎/眼球乾燥/眼瞼浮腫/血小板減少症/血小板数減少/白血球増加症/血液毒性/好中球増加症/うつ病/抑うつ気分/気分変動/肝毒性/胆嚢炎/膣分泌物/膣炎症/膣出血/女性生殖器痛/生殖器炎症/蒼白/低血圧/動悸/心筋梗塞/心房細動/プリンツメタル狭心症/上室性期外収縮/排尿困難/皮膚新生物/急性骨髄性白血病/消化管潰瘍/胃不快感/胃腸出血/下腹部痛/血便排泄/口の錯感覚/口唇びらん/歯肉出血/心窩部不快感/舌炎/舌障害/舌苔/肛門出血/丘疹/脂漏性皮膚炎/湿疹/皮膚反応/接触性皮膚炎/嵌入爪/紅色汗疹/爪痛/皮脂欠乏性湿疹/けん怠感/胸部不快感/胸痛/口渇/熱感/冷感/傾眠/体位性めまい/高血糖/高カリウム血症/血中カリウム増加/高尿酸血症/血中尿酸増加/低アルブミン血症/血中アルブミン減少/高カルシウム血症/血中カルシウム増加/低クロール血症/筋骨格痛/咽喉頭疼痛/発声障害/鼻閉/咽頭炎/帯状疱疹/単純ヘルペス/爪白癬/肺感染/蜂巣炎/毛包炎/リンパ球数減少/アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加/赤血球数減少/ヘマトクリット減少/γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加/C-反応性蛋白増加/好塩基球数増加/好酸球百分率増加/総蛋白減少/脳性ナトリウム利尿ペプチド上昇/リンパ球数増加/血中クレアチンホスホキナーゼ増加/血中コレステロール増加/血中乳酸脱水素酵素減少/血中乳酸脱水素酵素増加/好塩基球百分率増加/好酸球数増加/単球百分率減少/尿中ケトン体陽性/尿比重増加/眼異常感/眼そう痒症/角膜びらん/眼部不快感/羞明/霰粒腫/潮紅/洞性頻脈/血尿/尿中血陽性/蛋白尿/尿蛋白/過敏症など

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ラパチニブトシル酸塩水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方は、タイケルブにアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼タイケルブの有効成分
ラパチニブトシル酸塩水和物
▼代表薬の添加物
・結晶セルロース、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、マクロゴール400、ポリソルベート80、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄

■妊婦又は妊娠している可能性のある女性
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には使用できません。投与しないでください。

使用に注意が必要な方
■間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者
間質性肺疾患(放射線性肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者は、間質性肺疾患が増悪するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者
心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者は、症状が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■左室駆出率が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者
左室駆出率が低下している患者、コントロール不能な不整脈のある患者、臨床上重大な心臓弁膜症のある患者は、症状が悪化するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■肝機能障害患者
肝機能障害患者は、肝機能障害が悪化するおそれがあります。ラパチニブは主として肝臓で代謝されるので、AUCが増加するおそれがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止することが望ましいですが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与してください。

■生殖能を有する者
妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行い妊娠しないよう指導してください。

■授乳婦
授乳しないことが望ましいです。動物実験(ラット)でラパチニブを授乳動物に投与したとき、乳児への移行が認められています。

■小児等
小児等を対象とした臨床試験を実施していません。

■高齢者
高齢者は一般に生理機能が低下していることから、患者の状態を観察しながら注意して投与してください。

上記にあてはまる方は、ラパチニブトシル酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ラパチニブトシル酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・CYP3A4を阻害する薬剤等
 イトラコナゾール等
・グレープフルーツ(ジュース)
・CYP3A4を誘導する薬剤
 カルバマゼピン
 リファンピシン
 フェニトイン等
・治療域が狭くCYP3A4で代謝される薬剤
 ミダゾラム(経口剤:国内未発売)等
・治療域が狭くCYP3A4又はCYP2C8で代謝される薬剤
 ビノレルビン等
・パクリタキセル
・P-糖蛋白質を阻害する薬剤
 ベラパミル
 イトラコナゾール
 キニジン
 シクロスポリン
 エリスロマイシン等
・P-糖蛋白質を誘導する薬剤等
 リファンピシン
 セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
・P-糖蛋白質の基質薬剤
 ジゴキシン等
・パゾパニブ塩酸塩
・イリノテカン
・プロトンポンプ阻害剤
 エソメプラゾール等
・QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
 イミプラミン
 ピモジド等
・抗不整脈薬
 キニジン
 プロカインアミド
 ジソピラミド等

上記を使用している方は、ラパチニブトシル酸塩水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ラパチニブトシル酸塩水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ラパチニブトシル酸塩水和物を使った時の食事の影響を教えてください。

癌患者にラパチニブ 1500mg を単回経口投与したとき、低脂肪食(5%脂肪[500kcal])及び高脂肪食(50%脂肪[1000kcal])とともに投与するとラパチニブの全身曝露量(AUC0-∞)は、空腹時と比べそれぞれ約 2.7 及び 4.3 倍に増加し、最高血漿中濃度はそれぞれ約 2.4 及び 3.0 倍に増加した。

タイケルブ インタビューフォーム

【上記引用元:ノバルティスファーマ】

食後にラパチニブトシル酸塩水和物を飲んで問題はありませんか?

食後に本剤を投与した場合、Cmax 及び AUC が上昇するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の前後 1 時間以内の服用は避けること。(

タイケルブ インタビューフォーム

【上記引用元:ノバルティスファーマ】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。