成分名 |
ベムラフェニブ |
適応症状 |
BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫 |
簡易説明 |
ベムラフェニブはBRAF変異のある患者さんで、手術をしても根治切除ができなかった悪性黒色腫の改善をする薬剤です。BRAF阻害薬と呼ばれる分子標的薬に分類されます。がん細胞が増殖する原因の1つに変異型BRAFがありますが、ベムラフェニブは変異型BRAFの活性化を阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。
F.Hoffmann-La Roche社及び Plexxikon Inc.が共同開発し、日本では2015年2月から販売されています。 |
処方可能な診療科目 |
皮膚科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
薬代1錠あたりの目安:240mg約5026.9円/(薬価)
※病院によって差が有り、薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。
※高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
2015年2月発売 |
国内のジェネリック認可 |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
関連製品(先発薬) |
ゼルボラフ 【製薬メーカー:中外製薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
現在ジェネリック医薬品の製造はありません。 |
海外での使用実績 |
【アメリカ】
2011年8月に承認されており、日本では承認されていないエルドハイム・チェスター病の適応を取得しております。
<適応症>
・切除不能または転移性黒色腫
FDA 承認の検査で検出された BRAFV600E変異を有する切除不能または転移性黒色腫患者の治療に適応されます。一方で、野生型BRAFメラノーマ患者の治療には適応されません。
・エルドハイム・チェスター病
BRAFV600変異を有するエルドハイム・チェスター病 (ECD) 患者の治療に適応されます。
<用法・用量>
ゼルボラフの推奨用量は、食事の有無にかかわらず、12時間ごとに経口で960mg(240mgの錠剤を4錠)です。 飲み忘れた場合は、次の服用の4時間前まで服用できます。疾患の進行または許容できない毒性が発生するまで、ゼルボラフを服用してください。
ゼルボラフ投与後に嘔吐が生じた場合は、追加投与せず、次の予定用量から服用してください。錠剤を砕いたり噛んだりしないでください。
【EU】
2012年2月に承認されています。
<適応症>
・ベムラフェニブは、BRAFV600変異陽性の切除不能または転移性黒色腫の成人患者の治療のための単剤療法が適応となります。
<用法・用量>
ベムラフェニブの推奨用量は、960mg(240mg4錠)を 1日2回(1日合計 1,920mgに相当)です。 ベムラフェニブは食事の有無にかかわらず服用できますが、空腹時に両方の用量を摂取することは避けてください。 |
効果・作用 |
ベムラフェニブは手術をしても根治切除ができなかった悪性黒色腫の改善をする薬剤で、BRAF遺伝子変異がある患者さんに投与ができます。悪性黒色腫は、メラノサイトという細胞が癌化して発生する希少がんで、BRAF遺伝子があるかどうかは、判定キットを使用して確認することが可能です。
ベムラフェニブは、BRAF V600変異(V600E、V600D、V600R、V600K、V600G、V600M)を含む活性化変異型のBRAFキナーゼ活性を阻害することにより、BRAF活性化によるMEK及びERKのリン酸化を阻害し、BRAFV600変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。
臨床試験としては、国内でBRAFV600変異のある根治切除不能な悪性黒色腫患者11例を対象とし、本剤1回960mgを1日2回空腹時(投与前2時間、投与後1時間絶食)に連日投与する第1/2相試験を実施しました。有効性評価の対象となった8例の奏効率は75.0%で、ベムラフェニブの有効性が確認されました。
また、海外で化学療法歴のないBRAF V600変異のある根治切除不能なⅢ期/Ⅳ期の悪性黒色腫患者675例を対象とした、第Ⅲ相試験も実施しています。ダカルバジン1000mg/m2を3週毎に投与する群と本剤1回960mgを1日2回連日投与する群を比較した第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験の成績です。
全生存期間と呼ばれているOSの解析において、ダカルバジン投与群に対する本剤投与群のハザード比は0.37であり、Kaplan-Meier法で推定した中央値は、ダカルバジン投与群7.75カ月、本剤投与群9.23カ月でした。この結果から、p<0.0001となり、統計学的に有意なOSの延長が確認されました。
加えて、治療中もしくは治療後にがんが進行せず安定した状態である期間を示すPFS解析において、ダカルバジン投与群に対する本剤投与群のハザード比は0.26であり、Kaplan-Meier法で推定した中央値はダカルバジン投与群1.61カ月、本剤投与群5.32カ月でした。p<0.0001であり、統計学的に有意なPFSの延長が確認されました。 |
使用方法 |
1回4錠(ベムラフェニブ960㎎)を1日2回経口投与します。
食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けるようお願いいたします。 |
副作用 |
主な副作用
主に関節痛、発疹(湿疹、丘疹など)、光線過敏症、脱毛症、過角化、そう痒症、疲労、悪心、下痢、皮膚乳頭腫などがあげられます。
主な発現頻度は以下の通りです。
皮膚・・発疹(湿疹、丘疹等)(54.0%)、光線過敏症(46.0%)、脱毛症(46.0%)、過角化(25.9%)、そう痒症(21.8%)
筋・骨格・・関節痛(49.4%)
消化器・・悪心(26.1%)、下痢(21.3%)
その他・・疲労(43.7%)、皮膚乳頭腫(21.6%)
重大な副作用
<有棘細胞癌>
皮膚有棘細胞癌(18.7%)、ケラトアカントーマ(10.6%)、ボーエン病(0.6%)があらわれることがあります。
びらんやかさぶたに覆われた皮膚の隆起や潰瘍は有棘細胞癌の初期症状の可能性があるため、見つけた場合はすぐに医師の診察を受けてください。
<悪性腫瘍(二次発癌)>
扁平上皮癌(皮膚以外)(頻度不明)、原発性悪性黒色腫(1.1%)等があらわれることがあります。
<アナフィラキシー>
アナフィラキシー(頻度不明)、過敏症(0.9%)があらわれることがあります。
<皮膚関連>
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.3%)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis;TEN)(頻度不明)、多形紅斑(0.3%)、紅皮症(剥脱性皮膚炎等)(0.9%)があらわれることがあります。
<薬剤性過敏症症候群>
頻度不明ですが、初期症状として発疹、発熱が認められ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅
発性の重篤な過敏症状があらわれることがあります。本剤の投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意してください。
QT間隔延長(2.0%)があらわれることがあります。
動悸、気を失うといった症状は、QT間隔延長の初期症状の可能性がありますので、出た際には使用を中止し医師の診察を受けてください。
<肝臓関連>
肝不全(頻度不明)、肝機能障害(2.0%)、黄疸(頻度不明)があらわれることがあります。
吐き気、おう吐、食欲不振、羽ばたくような手のふるえ、からだがだるい、皮膚や白目が黄色くなる、かゆみ、尿の色が濃くなるといった症状は、肝不全や肝機能障害の初期症状の可能性があります。出た際にはすぐに医師の診察を受けてください。
<急性腎障害>
頻度不明ですが、急性腎障害があらわれることがあるので、投与開始前及び投与中に定期的に腎機能検査を行ってください。
また、顔・手足のむくみ、疲れやすい、食欲不振、尿が出ない、尿量が減るといった症状は急性腎障害の初期症状の可能性があるため、気になる症状が出た際には医療機関をすぐに受診してください。
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■ベムラフェニブを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ベムラフェニブの有効成分
ベムラフェニブ
▼代表薬の添加物
ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、酸化チタン、マクロゴール4000、タルク、三二酸化鉄
・以前、ベムラフェニブを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
使用に注意が必要な方 ・QT間隔延長の既往歴のある方はQT間隔延長が起こる恐れがあるため、慎重に投与してください。本剤を投与する前には心電図検査、および電解質測定を行い、投与開始前にQTcのベースライン値が500msを超える場合、もしくは補正できない電解質異常が認められた場合には投与を避けてください。
・高齢者は一般に生理機能が低下していることが多いため、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください。
上記にあてはまる方は、ベムラフェニブを使用する事が出来ない可能性があります。 ベムラフェニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用注意薬 <ミダゾラム、/アトルバスタチン、シンバスタチン/等(CYP3A4の基質となる薬剤)>
併用した薬剤の血漿中濃度が低下する可能性があります。
<リファンピシン/フェニトイン/カルバマゼピン等(CYP3A4を誘導する薬剤)>
ベムラフェニブの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が弱まる恐れがあります。もし併用する際は誘導作用のない薬剤への代替を考慮してください。
<イトラコナゾール/ポサコナゾール/クラリスロマイシン等(CYP3A4を阻害する薬剤)>
ベムラフェニブの血漿中濃度が上昇する可能性があります。CYP3A4阻害剤と併用する場合は、本剤を減量しながら使用してください。
<カフェイン/テオフィリン/チザニジン 等(CYP1A2の基質となる薬剤)>
併用した薬剤の代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇する可能性があります。
<ワルファリン 等(CYP2C9の基質となる薬剤)>
併用した薬剤の代謝が阻害され、血漿中濃度が上昇する可能性があります。
<ジゴキシン 等(P-gpの基質となる薬剤)>
本剤のP-gp阻害作用により併用した薬剤の血漿中濃度が上昇する可能性があります。
<イミプラミン/ピモジド等(QT間隔延長を引き起こすことが知られている薬剤)、キニジン/プロカインアミド/ジソピラミド/ソタロール 等(抗不整脈薬)>
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させる恐れがあります。そのため、併用により作用が増強する可性がございます。
<放射線照射>
放射線照射の併用又は本剤投与前後の放射線照射により放射線皮膚障害、放射線性肺臓炎等の放射線照射リコール反応、放射線増感作用があ
らわれることがあり、放射線毒性を増強させる可能性があるため、併用には注意をしてください。
上記を使用している方は、ベムラフェニブを使用する事が出来ない可能性があります。 ベムラフェニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。
併用禁忌薬 現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。
併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
ベムラフェニブに関する よくある質問 |
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参考元一覧 |
ゼルボラフ錠240㎎ 添付文書
ゼルボラフ錠240㎎ 添付文書
ゼルボラフ錠240㎎ 【医薬品インタビューフォーム】 |
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