フィルグラスチム(遺伝子組換え)

成分名

フィルグラスチム(遺伝子組換え)

適応症状

・造血幹細胞の末梢血への動員
・造血幹細胞移植する際の好中球数の増加促進
・がん化学療法における好中球減少症
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障をきたす好中球減少症
・骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症
・再生不良性貧血に伴う好中球減少症
・先天性及び特発性好中球減少症
・神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強
・再発もしくは難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法

簡易説明

フィルグラスチムは、好中球減少症の治療や化学療法後の回復促進などに用いられています。本剤は遺伝子組み換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子と呼ばれており、好中球になる前の細胞の分化と増殖を促進し、成熟した好中球の放出や機能を促進させます。1965年にコロニー形成刺激因子(CSF)の研究が始まり、1985年にヒトG-CSFが作られました。協和キリンとアムジェン社は、rhG-CSFの共同開発を開始し、1991年にグラン注射液が承認・上市されました。

処方可能な診療科目

血液内科/内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

この薬は処方薬ではありません。
<先発品>
グラン注射液75【製薬メーカー:協和キリン】1管6913円(薬価)
グラン注射液150【製薬メーカー:協和キリン】1管10253円(薬価)
グラン注射液M300【製薬メーカー:協和キリン】1管11870円(薬価)
グランシリンジ75【製薬メーカー:協和キリン】1筒5224円(薬価)
グランシリンジ150【製薬メーカー:協和キリン】1筒10117円(薬価)
グランシリンジM300【製薬メーカー:協和キリン】1筒10715円(薬価)

<後発品>
フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「NK」【製薬メーカー:日本化薬】1筒2237円(薬価)
フィルグラスチムBS注150μgシリンジ「NK」【製薬メーカー:日本化薬】1筒3635円(薬価)
フィルグラスチムBS注300μgシリンジ「NK」【製薬メーカー:日本化薬】1筒5812円(薬価)
フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】1筒2237円(薬価)
フィルグラスチムBS注150μgシリンジ「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】1筒3635円(薬価)
フィルグラスチムBS注300μgシリンジ「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】1筒5812円(薬価)
フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬販売】1筒2237円(薬価)
フィルグラスチムBS注150μgシリンジ「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬販売】1筒3635円(薬価)
フィルグラスチムBS注300μgシリンジ「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬販売】1筒5812円(薬価)
フィルグラスチムBS注75μgシリンジ「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場】1筒2237円(薬価)
フィルグラスチムBS注150μgシリンジ「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場】1筒3635円(薬価)
フィルグラスチムBS注300μgシリンジ「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場】1筒5812円(薬価)

厚生労働省による認可、または発売年月日

1991年12月【グラン注射液75、グラン注射液150】
2000年6月【グラン注射液M300】
2002年8月【グランシリンジ75、グランシリンジ150、グランシリンジM300】

国内のジェネリック認可

あり

関連製品(先発薬)

グラン注射液75、150、M300、グランシリンジ75、150、M300【製薬メーカー:協和キリン】

関連製品(ジェネリック)

フィルグラスチムBS注75μg、150μg、300μgシリンジ「NK」、【製薬メーカー:日本化薬】
フィルグラスチムBS注75μg、150μg、300μgシリンジ「F」【製薬メーカー:富士製薬工業】
フィルグラスチムBS注75μg、150μg、300μgシリンジ「モチダ」【製薬メーカー:持田製薬販売】
フィルグラスチムBS注75μg、150μg、300μgシリンジ「NIG」【製薬メーカー:日医工岐阜工場】

海外での使用実績

アメリカやヨーロッパなどで発売されています。

効果・作用

フィルグラスチムは、rhG-CSFと呼ばれている遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー形成刺激因子です。を好中球の前の姿である細胞に作用して、増殖を促進させることで、好中球機能を最大化させます。同時に、造血幹細胞を末梢血に移動させる役割も持っています。そのため、現在の医療では、好中球減少症の改善、好中球数の増加において使用されております。

海外で行われた臨床試験で、急性白血病もしくは慢性骨髄性白血病患者33名を対象とした試験があります。好中球数が3日間連続で1000/mm3以上もしくは1日でも10000/mm3以上となるまで、造血幹細胞移植をした翌日から本剤1kgあたり5μgを毎日皮下投与か静脈内投与しました。結果、好中球数が回復する日数の中央値は13日でした。
また、急性白血病患者54例を対象に、化学療法終了48時間後から本剤1日200μg/m2を2~4週間、毎日点滴で静脈内注射しました。結果、本剤を投与した群は、投与しなかった群と比べて有意な好中球数増加効果と感染症発生の減少が認められました。
好中球減少しているHIV感染症患者で抗ウイルス剤の継続投与が難しいもしくは細菌感染症の治癒効果が不十分である24名を対象に、本剤1日200μg/m2を2週間連日点滴静注しました。結果、好中球数の増加効果が21名中17名に認められ、有効率は81.0%でした。

使用方法

使用する目的によって使用量が異なってまいります。

<造血幹細胞の末梢血中への動員の場合>
①同種もしくは自家末梢血幹細胞採取時の本剤単独投与による動員の場合、400μg/m2を1日1回または2回に分割し、5日間毎日投与します。もしくは末梢血幹細胞採取終了するまで毎日皮下投与することも可能です。この時、本剤投与開始4~6日後に末梢血幹細胞採取を行います。なお、末梢血幹細胞採取が終わる前に白血球が50000/mm3以上に増加したら減量を、そのうえで75000/mm3までさらに増加したら中止してください。患者の症状によって随時減量が可能です。


②自家末梢血幹細胞採取時のがん化学療法剤投与終了後に本剤投与して動員する場合、抗がん剤投与終了次の日もしくは抗がん剤により好中球数が最低値となった後、400μg/m2を1日1回もしくは2回に分けて、末梢血幹細胞採取終了まで毎日皮下投与します。なお、末梢血幹細胞採取が終わる前に白血球が50000/mm3以上に増加したら減量を、そのうえで75000/mm3までさらに増加したら中止してください。患者の症状によって随時減量が可能です。

<造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進の場合>
①造血幹細胞移植施行の次の日もしくは5日後から300μg/m2を1日1回点滴静注します。なお、好中球数が50000/mm3以上に増加したら投与を中止してください。患者の症状によって随時減量が可能です。

<がん化学療法による好中球減少症>
①急性白血病の場合、がん化学療法剤投与終了してから翌日以降で骨髄中の芽球が減少し末梢血液中に芽球が認められなくなったら、本剤200μg/m2を1日1回静脈内投与します。出血傾向などの問題がない場合は100μg/m2を1日1回皮下投与します。なお、好中球が最低値となった時期のあと50000/mm3以上に増加したら投与を中止してください。患者の症状によって随時減量が可能です。


②悪性リンパ腫/小細胞肺癌/睾丸腫瘍や卵巣腫瘍などの胚細胞腫瘍/神経芽細胞腫/小児がんの場合、がん化学療法剤投与終了後翌日以降から、本剤50μg/m2を1日1回皮下投与します。出血傾向等により皮下投与が困難な場合は本剤100μg/m2を1日1回静脈内投与します。なお、好中球が最低値となった時期のあと50000/mm3以上に増加したら投与を中止してください。患者の症状によって随時減量が可能です。

③その他のがん腫の場合、がん化学療法により好中球数1,000/mm3未満で38℃以上の発熱もしくは好中球数500/mm3未満となった時点から、本剤50μg/m2を1日1回皮下投与します。出血傾向等に
より皮下投与が困難な場合は本剤100μg/m2を1日1回静脈内投与します。なお、がん化学療法により好中球数1000/mm3未満で38℃以上の発熱もしくは好中球数500/mm3未満となり、引き続き同一のがん化学療法を行う患者に対しては、次回以降のがん化学療法施行時には好中球数1000/mm3未満が辞典からみられた時点から、本剤50μg/m2を1日1回皮下投与します。出血傾向等により皮下投与が困難である際は、100μg/m2を1日1回静脈内投与します。なお、好中球が最低値となった時期のあと50000/mm3以上に増加したら投与を中止してください。患者の症状によって随時減量が可能です。


<ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障をきたす好中球減少症>
①好中球数が1000/mm3未満のとき、本剤200μg/m2を1日1回点滴静注します。小児には好中球数が1000/mm3未満のとき、200μg/m2を1日1回点滴静注します。投与する期間は2週間をめどとするが、好中球数が3000/mm3以上に増加した場合は、症状をみながら減量か投与中止します。患者の症状によって随時減量が可能です。

<骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症>
①好中球数が1000/mm3未満のとき、本剤100μg/m2を1日1回点滴静注します。しかし、好中球数が5000/mm3以上に増加した場合は、状態に応じて減量か投与中止します。患者の症状によって随時減量が可能です。

<再生不良性貧血に伴う好中球減少症>
①好中球数が1000/mm3未満のとき、本剤400μg/m2を1日1回点滴静注します。小児には好中球数が1000/mm3未満のとき、本剤400μg/m2を1日1回点滴静注します。なお、好中球数が5000/mm3以上に増加したら減量、もしくは投与中止を検討します。患者の症状によって随時減量が可能です。

<先天性・特発性好中球減少症>
①好中球数が1000/mm3未満のとき、本剤50μg/m2を1日1回皮下投与します。小児には好中球数が1000/mm3未満のとき、本剤50μg/m2を1日1回皮下投与します。なお、好中球数が5000/mm3以上に増加したら減量、もしくは投与中止を検討します。患者の症状によって随時減量が可能です。

<神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強>
①ジヌツキシマブもしくはテセロイキンと併用する場合は、本剤1日1回5μg/kg(体重)を皮下投与します。28日間を1サイクルとし、1、3、5サイクルの1~14日目に投与します。しかし、白血球数が50000/mm3以上に増加したら休薬してください。患者の症状によって随時減量が可能です。

<再発又は難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法>
①1日1回300μg/m2を、フルダラビン、シタラビンなどの抗悪性腫瘍剤併用化学療法の開始する前日から併用化学療法終了する日まで毎日皮下もしくは静脈内投与します。患者の症状によって随時減量が可能です。

副作用

主な副作用
主に、LDH上昇や発熱、腰痛などがあげられます。
項目別の発現頻度は以下の通りです。

皮膚・・発疹/発赤(1%未満)、好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群等)(頻度不明)
筋・骨格・・骨痛/腰痛(1~5%未満)、胸痛/関節痛/筋肉痛(1%未満)、四肢痛(頻度不明)
消化器・・悪心・嘔吐(1%未満)
肝臓・・ALT上昇(1~5%未満)、肝機能異常/AST上昇(1%未満)
血液・・血小板減少/白血球増加症(頻度不明)
腎臓・・糸球体腎炎(頻度不明)
その他・・LDH上昇(5%以上)、発熱/Al-P上昇(1~5%未満)、頭痛/倦怠感/動悸/尿酸上昇/血清クレアチニン上昇/CRP上昇(1%未満)

重大な副作用
ショック、アナフィラキシー、間質性肺炎、急性呼吸窮迫症候群、芽球の増加、毛細血管漏出症候群、 大型血管炎などに注意をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■フィルグラスチムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼フィルグラスチムの有効成分
フィルグラスチム

▼代表薬の添加物
ポリソルベート80、D-マンニトール、pH調節剤

・以前、フィルグラスチムを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・骨髄中の芽球が十分減少していない骨髄性白血病の方、末梢血液中に骨髄芽球の認められる骨髄性白血病の方は使用できません。
(※ただし、再発もしくは難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法として投与する場合は除きます。)

使用に注意が必要な方
・妊婦又は妊娠している可能性のある女性
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、フィルグラスチム(遺伝子組換え)を使用する事が出来ない可能性があります。
フィルグラスチム(遺伝子組換え)を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

フィルグラスチム(遺伝子組換え)に関する
よくある質問
皮下投与した場所は揉んだ方が良いですか?

揉む必要性はありません

よくある医薬品Q&A グラン

【上記引用元:協和キリンメディカルサイト】

「静脈内投与の場合はできるだけ投与速度を遅くすること」と記載されているのはなぜですか?

G-CSF製剤を投与した方で、静脈内注射時にショックのような症状があり、次投与から点滴静注に変更したところ、同じ症状があらわれなかったとの報告があることから設定されました。そのため、できるだけ緩徐に投与し、投与後しばらくは患者の様子をみてください。

よくある医薬品Q&A グラン

【上記引用元:協和キリンメディカルサイト】

参考元一覧

フィルグラスチム 添付文書

フィルグラスチム医薬品インタビューフォーム

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。