クリゾチニブ

成分名

クリゾチニブ

適応症状

ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

簡易説明

クリゾチニブは、抗がん剤として使用されています。ALK融合遺伝子から合成されたALK融合タンパクを特異的に阻害するお薬です。ALK融合タンパクを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、がん細胞の増殖を抑制するといった作用を示します。
通常、肺がんの治療に用いられます。ALK遺伝子またはROS1遺伝子に変異がある非小細胞肺がん(NSCLC)に用います。

処方可能な診療科目

呼吸器外科/呼吸器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安:約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:
ザーコリカプセル200mg 9381.4円/カプセル(薬価)
ザーコリカプセル250mg 11669.6円/カプセル(薬価)
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2012年5月【ザーコリカプセル発売開始年月日】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

ザーコリカプセル200mg/250mg【製薬メーカー:ファイザー】

関連製品(ジェネリック)

クリゾニクス (クリゾチニブ)/Beacon Pharmaceuticals Ltd

効果・作用

クリゾチニブは、肺がんに対して高い効果を期待できる分子標的薬です。クリゾチニブが適応になる肺がんは、ALK融合遺伝子陽性で、切除することができない進行・再発の非小細胞肺がんに限られます。非小細胞肺がんは、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分けられますが、それらすべてが対象となります。
クリゾチニブを配合するザーコリは、国内で初めてのALK阻害薬として登場しました。

■ALK融合遺伝子とは
ALK(アルク)と呼ばれる遺伝子と、ほかの遺伝子が融合してできた異常な遺伝子。このALK(アルク)融合遺伝子が陽性の肺がんの患者さんは、非小細胞肺がんの患者さんの3~5%ほどいます。

ALK融合遺伝子があると、細胞の増殖にかかわるタンパク質が活性化され、がん細胞などの細胞が無秩序に増殖してしまいます。そのタンパク質の活性化を抑え、がん細胞が増殖するのを抑制、死滅させる効果が期待できます。

ザーコリが適応になるかどうかは、ALK融合遺伝子が陽性か陰性かを検査によって明らかにする必要があります。

■ALK阻害薬
現在、日本国においては、クリゾチニブ(ザーコリ)、アレクチニブ(アレセンサ)、セリチニブ(ジカディア)、ブリグチニブ(アルンブリグ)が1次治療やそれ以降の治療において使用することができ、ロルラチニブ(ローブレナ)はこれらの阻害薬耐性後の治療薬として使用されております。基質をリン酸化する際に必須となるATPとALKとの結合を阻害することでALKの活性化を抑制しています。

使用方法

通常、成人にはクリゾチニブとして1回250mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

副作用

主な副作用
クリゾチニブには、副作用が起こる可能性があります。
クリゾチニブを服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。

浮腫/視覚障害/視力障害/光視症/霧視/硝子体浮遊物/複視/羞明/視野欠損/視力低下/味覚異常

■クリゾチニブの注意すべき副作用
肝機能障害/ALT上昇/AST上昇/ビリルビン上昇/Al-P上昇/徐脈/低血圧/失神/めまい/血液障害

重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
肝機能障害/ALT上昇/AST上昇/ビリルビン上昇/Al-P上昇/徐脈/低血圧/失神/めまい/血液障害/好中球減少症/白血球減少症/間質性肺疾患/肝不全/QT間隔延長/リンパ球減少症/血小板減少症/心不全/体液貯留/肺水腫/胸水/心嚢液貯留/急激な体重増加/心不全症状/息切れ /呼吸困難/劇症肝炎

重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。

その他の副作用
浮動性めまい/ニューロパチー/頭痛/不眠症/食欲減退/低アルブミン血症/低リン酸血症 /低カリウム血症/脱水/血栓塞栓症/咳嗽/肺炎/発疹/皮膚そう痒症/紅斑/筋痙縮/関節腫脹 /悪心/下痢/嘔吐/便秘/腹痛/上腹部痛/腹部不快感/食道障害/食道炎/食道潰瘍/消化不良 /腹部膨満/口内乾燥/血中クレアチニン増加/複雑性腎嚢胞/末梢性浮腫/顔面浮腫/眼窩周囲浮腫/疲労/発熱/血中テストステロン減少/光線過敏症/腎機能障害/腎膿瘍

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
【使用に注意が必要な方使用できない方】
■クリゾチニブ(成分名)を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方クリゾチニブ(ザーコリカプセル200mgの場合)は、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼ザーコリカプセル200mgの有効成分
1カプセル中 クリゾチニブ 200.00mg
▼ザーコリカプセル200mgの添加物
軽質無水ケイ酸/結晶セルロース/無水リン酸水素カルシウム/デンプングリコール酸ナトリウム/ステアリン酸マグネシウム
(カプセル本体)
酸化チタン/三二酸化鉄

・過敏症
・ロミタピド投与中
【相対禁止】
・妊婦・産婦

使用に注意が必要な方
・QT間隔延長
・重度腎機能障害
・間質性肺疾患
・中等度以上の肝機能障害
・授乳婦
・新生児(低出生体重児を含む)
・乳児
・幼児・小児
【慎重投与】
・高齢者

上記にあてはまる方は、クリゾチニブを使用する事が出来ない可能性があります。
クリゾチニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・CYP3Aの基質となる薬剤:ミダゾラム等
・CYP3A阻害剤:イトラコナゾール等
・CYP3A誘導剤:リファンピシン等
・QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤:イミプラミン/ピモジド等

上記を使用している方は、クリゾチニブを使用する事が出来ない可能性があります。
クリゾチニブを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
・ロミタピド(ジャクスタピッド)

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
抗がん剤って副作用が強いイメージですが、クリゾチニブは副作用は強いですか?

分子標的薬は、副作用が少ないと思われがちですが、全く副作用がないというわけではありませんので十分注意する必要があります。
クリゾチニブの注意すべき副作用として、最も重要なのは、間質性肺炎です。発熱、せき、呼吸困難といった症状です。
1週間以内に発症して亡くなられた症例も経験しておりますので、十分注意して観察する必要があります。
二つ目は、重症な肝機能障害です。ビリルビン上昇を伴うような重症肝機能障害を起こして亡くなられる症例もあったと報告されています。十分な注意が必要です。
そのほか、頻度は低いですが、「発熱性好中球減少を伴うような骨髄抑制」や「重症な皮膚障害」を呈してくることもあります。
よく起きる副作用としては、残像を呈する視力障害が特徴的です。日常生活上は車の運転ですとかに気をつける必要があります。
よくおきる副作用は、吐き気です。1日2回で毎日服用しますので、吐き気が強くて内服が続けられないということが起こり得ますし、また減量を余儀なくされることがありますので、いろんな支持療法を適確に行う必要があります。

ザーコリは他のがんにも有効ですか?

一部の乳がんには有効だという報告があります。

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。