ペメトレキセドナトリウム水和物

成分名

ペメトレキセドナトリウム水和物

適応症状

・悪性胸膜中皮腫
・切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

簡易説明

ペメトレキセドナトリウム水和物は、悪性胸膜中皮腫、非小細胞肺癌に対して使用される抗がん剤です。新しいタイプの葉酸代謝拮抗薬に分類されており、悪性胸膜中皮腫に対しては世界で初めて使用可能となった薬剤です。本剤は葉酸とビタミンB12を併用することで重篤な副作用を軽減させることができます。日本ではイーライリリーが現在販売しております。

処方可能な診療科目

呼吸器内科/呼吸器外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:100mg約28671円/500mg約112999円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:2007年1月【アリムタ注射用100mg】
発売年月日:2009年9月【アリムタ注射用500mg】

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

アリムタ注射用100mg/アリムタ注射用500mg【製薬メーカー:日本イーライリリー】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

スウェーデンやイタリア、オーストラリア、オランダ、ギリシャなどの国で販売されています。

効果・作用

ペメトレキセドナトリウム水和物は、いくつかの葉酸代謝酵素を同じタイミングで阻害することによって、抗腫瘍効果を発揮する新しい葉酸拮抗薬です。、中皮腫、非小細胞肺癌に対しての有効性が認められており、適応を取得しています。悪性胸膜中皮腫患者に対しては、世界で初めて有効性が確認された薬剤となっています。本剤は、副作用を減らす目的で葉酸とビタミンB12が臨床試験において併用されていました。

化学療法での治療を実施したことのない悪性胸膜中皮腫患者を対象にアメリカなど26ヵ国で実施された第3相試験があります。本剤500mg/m2とシスプラチン75mg/m2併用投与群とシスプラチン75mg/m2単独投与群の成績は、併用群の生存期間中央値は12.1カ月、単独投与群は9.3カ月でした。併用投与での優越性が示されました。

化学療法での治療を実施したことのない非小細胞肺癌患者を対象にアメリカなど26ヵ国で実施された第3相試験があります。本剤500mg/m2とシスプラチン75mg/m2を併用して投与した群とゲムシタビン1250mg/m2とシスプラチン75mg/m2を併用して投与した群の成績は、本剤とシスプラチン群の生存期間中央値は10.3カ月、ゲムシタビンとシスプラチン群は10.3カ月であり、非劣性が証明されました。

使用方法

悪性胸膜中皮腫に使用する場合、シスプラチンとの併用において、1日1回体表面積あたり500mg/m2を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬します。これを1コースとして、投与を繰り返します。患者の症状にあわせて減量も可能です。

切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に使用する場合、1日1回体表面積あたり500mg/m2を10分間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬します。これを1コースとして、投与を繰り返してください。患者の症状にあわせて減量も可能です。

副作用

主な副作用
主に、食欲不振や悪心嘔吐、AST/ALT上昇や発疹、倦怠感などがあげられます。

重大な副作用
重大な副作用としては以下の通りです。
<骨髄抑制>
白血球減少、好中球減少、ヘモグロビン減少、リンパ球減少、血小板減少、貧血や発熱性好中球減少、汎血球減少症などがあらわれることがあります。
<感染症>
敗血症、肺炎等の重篤な感染症があらわれることがあります。
<間質性肺炎>
3.6%の確率で報告されています。肺毒性の発症や急性増悪が疑われた場合、すぐに本剤の投与を中止しステロイドなどの治療を検討してください。
<ショック、アナフィラキシー>
呼吸困難、喘鳴、血圧低下、発疹、発赤、そう痒感などの症状が出た場合にはすぐに投与を中止してください。
<重度の下痢>
1.3%の確率で報告されています。
<脱水>
異常があらわれた場合には、本剤の減量や休薬、補液、電解質投与などの処置を行ってください。
<腎不全>
クレアチニン上昇、腎不全、クレアチニンクリアランスなどがあらわれることがあります。
<中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群>

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ペメトレキセドナトリウム水和物を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼アリムタ注射の有効成分
ペメトレキセドナトリウム水和物
▼代表薬の添加物
D-マンニトール、pH調節剤

・以前、ペメトレキセドナトリウム水和物を使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・高度な骨髄抑制のある方は、骨髄抑制が悪化し命を脅かす可能性がありますので使用できません。
・妊婦もしくは妊娠している可能性のある女性

使用に注意が必要な方
・骨髄抑制のある方は、重篤な副作用が起こることがありますので患者の症状に注意をしてください。頻繁に血液検査や肝機能検査、腎機能検査などの臨床検査を行ってください。
・間質性肺炎、肺線維症にかかっている方、もしくはこれらの疾患に以前かかったことのある方は、重篤な肺毒性が起こることがありますので、呼吸症状や咳や発熱などの症状に注意をしながら定期的に胸部エックス線検査を行うなどを検討してください。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧、肺胞気動脈血
酸素分圧較差、肺拡散能力などの検査も行ってください。
・胸水もしくは腹水がある方など、多量の体腔液が認められる場合、本剤を投与する前に体腔液の排出を検討してください。胸水、腹水など体腔液の本剤投与への影響は不明ですが、他の葉酸代謝拮抗剤で副作用が強まった事例が報告されています。
・腎機能障害の方は、本剤は腎より排泄されるため、血中濃度が増加する可能性があります。
・重度の腎機能障害患者では、本剤によって起こったと考えられる死亡が報告されております。そのため、本剤投与前に患者の腎機能を確認するなど慎重に投与をしてください。
・肝機能障害の方は臨床試験から除外しています。
・生殖能のある方は、精神に対する影響を考慮したうえで慎重に投与をしてください。
・小児に対しては臨床試験は実施していません。
・高齢者は一般的に生理機能が低下しているため、慎重に投与をしてください。

上記にあてはまる方は、ペメトレキセドナトリウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ペメトレキセドナトリウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<非ステロイド性抗炎症剤(イブプロフェン等)>
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強まってしまう可能性があります。頻回に臨床検査をするなど行ってください。
<腎毒性を有する薬剤又は腎排泄型薬剤(プロベネシド/ペニシリン等)>
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強まってしまう可能性があります。
<抗悪性腫瘍剤>
骨髄抑制などの副作用が強まってしまう可能性がありますので、患者の状態を注意深く観察してください。

上記を使用している方は、ペメトレキセドナトリウム水和物を使用する事が出来ない可能性があります。
ペメトレキセドナトリウム水和物を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ペメトレキセドナトリウム水和物に関する
よくある質問
本剤の調整方法はどのようにしたらよいでしょうか?

日局生理食塩液を本剤100㎎には4.2mL、500㎎には20mLを注入して溶解してください。

アリムタ®(ペメトレキセドナトリウム水和物) Q&A

【上記引用元:イーライリリー 医療関係者向けサイト】

本剤を投与する際に葉酸とビタミンB12を併用するのはなぜですか?

本剤による重篤な副作用の発現が、葉酸とビタミンB12を投与することで軽減されるためです。ほかの葉酸代謝拮抗薬においても、同様の事例が報告されており、本剤でも検討を行ったところホモシステインとメチルマロン酸の値が併用群では低くなることが示され、副作用発現率も低いことが示唆されました。

アリムタ®(ペメトレキセドナトリウム水和物) Q&A

【上記引用元:イーライリリー 医療関係者向けサイト】

参考元一覧

アリムタ 添付文書

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