ビンクリスチン硫酸塩

成分名

ビンクリスチン硫酸塩

適応症状

ビンクリスチン硫酸塩を主成分とする医療用の医薬品であるオンコビン注射用1mgの適応症は、
1)白血病
2)悪性リンパ腫
3)小児腫瘍
4)悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
5)褐色細胞腫
に対して効能・効果を持ちます。具体的には1)は急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む白血病、2)細網肉腫、ホジキン病、リンパ肉腫、3)血管肉腫、神経芽腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、睾丸胎児性癌等、4)多発性骨髄腫、悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する併用療法をさします。

簡易説明

ビンクリスチン硫酸塩を主成分とする医療用医薬品であるオンコビン注射用1mgは抗悪性腫瘍剤になります。細胞の有糸分裂の中期に作用する事により、特異な分裂像を示し、細胞分裂を阻害する事で作用を発現します。また構造的に類似しているビンブラスチン硫酸塩と比較すると、抗腫瘍活性と臨床上の毒性においては著明な違いを示します。ビンクリスチン硫酸塩は動物実験においてビンブラスチン硫酸塩よりも高い抗腫瘍活性を有しています。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/皮膚科/脳神経外科内科/泌尿器科/消化器内科外科/神経内科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:1mg約2,100円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。


高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ビンクリスチン硫酸塩を主成分とする医薬品のオンコビン注射用1mgは、2001年8月2日製造販売が承認、翌月2001年9月7日薬価基準に収載。その後2004年4月1日に発売が開始されました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

オンコビン注射用1mg【製薬メーカー:日本化薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

Oncovin等の販売名で、世界66ヶ国で発売されています。

効果・作用

ビンクリスチン硫酸塩を主成分とする医療用の医薬品であるオンコビン注射用1mgの適応症は、
1)白血病、2)悪性リンパ腫、3)小児腫瘍、4)悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法、
5)褐色細胞腫に対して効果のある医薬品になります。
具体的には1)は急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む白血病、2)細網肉腫、ホジキン病、リンパ肉腫、3)血管肉腫、神経芽腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、睾丸胎児性癌等、4)多発性骨髄腫、悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する併用療法に対し適応症を持ちます。

【作用機序】
ビンクリスチン硫酸塩の作用機序の詳細についてはまだ明らかにはされていません。
紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合する事によって、細胞分裂特に有糸分裂の中期に作用し、細胞周期を分裂中期で停止させ、細胞分裂を阻害すると考えられています。

【試験成績】
1)動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果(マウス)
ビンクリスチン硫酸塩はマウスにおいて、P-1534白血病、S-180腹水型腫瘍及びB82A白血病に対して著名な生存日数の延長をもたらし、またマウスのRidgeway骨肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示しました。

使用方法

【白血病、悪性リンパ腫及び小児腫瘍】
通常、ビンクリスチン塩酸塩として小児に投与する場合には、用量として0.05~0.1mg/kgを、また成人に投与する場合には、用量として0.02~0.05mg/kgを週1回静脈内に注射を行います。
但し、副作用を回避する為、1回量として最大2mgを超えないものとしています。

【多発性骨髄腫(他の抗悪性腫瘍剤との併用療法)】
ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムと併用療法を行います。
通常、ビンクリスチン流左縁として0.4mg/日を24時間持続静脈注射を行います。これを4日間連続投与し、その後17~24日間休薬します。これを1クールとして、投与を繰り返します。

【悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫(他の抗悪性腫瘍剤との併用療法)】
通常、ビンクリスチン塩酸塩として1.4mg/m2(体表面積)を、2回静脈内に注射を行います。
2回目の投与は1回目の投与から3週間後に行い、6~8週を1クールとして投与を繰り返します。
但し、副作用回避の為、1回量として最大2mgを超えないものとします。

【褐色細胞腫】
シクロホスファミド水和物、ダカルバジンと併用療法を行います。
通常、成人に使用する場合には、ビンクリスチン硫酸塩として1日1回1.4mg/m2(体表面積)を静脈内に注射を行い、少なくとも20日間休薬をします。これを1クールとして投与を繰り返します。
但し、副作用回避の為、1回量として最大2mgを超えないものとします。なお、患者のjy包帯により適宜減量する事が認められています。

副作用

重大な副作用
1)末梢神経障害(神経麻痺、筋麻痺、痙攣等)(頻度不明)
運動性ニューロパチー(筋麻痺、運動失調、痙攣、歩行困難、言語障害、筋萎縮等)、感覚性ニューロパチー(知覚異常、知覚消失、神経痛、しびれ感、疼痛等)、自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧、尿閉等)、脳神経障害(視神経萎縮、眩暈、味覚障害、眼振等の平衡感覚障害等)、下肢深部反射の減弱・消失等があらわれる事があります。
2)骨髄抑制
汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(15.0%)、血小板減少(4.8%)、貧血(1.6%)が現れる事があります。
3)錯乱、昏睡(いずれも頻度不明)
倦怠感、錯乱、神経過敏、昏睡、抑うつ、意識障害等が現れる事があります。
4)イレウス(頻度不明)
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、激しい便秘、腹痛、腹部膨満感あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行する事があります。
5)消化管出血、消化管穿孔(いずれも頻度不明)
致命的な出血や腹膜炎に至ることがあります。
6)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(頻度不明)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、高張尿、尿中ナトリウム増加、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあります。
7)アナフィラキシー(頻度不明)
蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等が現れる事があります。
8)心筋虚血(頻度不明)
心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告があります。
9)脳梗塞(頻度不明)
10)難聴(頻度不明)
11)呼吸困難及び気管支痙攣(頻度不明)
12)間質性肺炎(頻度不明)
13)肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

その他の副作用
末梢神経障害、血液、消化器、肝臓、過敏症、皮膚、眼、循環器、泌尿器、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)末梢神経障害
排尿困難(0.1~5%未満)
垂足、背痛、複視(頻度不明)
2)血液
出血傾向(0.1~5%未満)
顆粒球減少(頻度不明)
3)消化器
悪心・嘔吐、腹痛、便秘(5%以上)
食欲不振、下痢(0.1~5%未満)
口内炎(頻度不明)
4)肝臓
肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γーGTP上昇、Al-P上昇等)(頻度不明)
5)過敏症
発疹(頻度不明)
6)皮膚
脱毛(5%以上)
皮膚落屑(0.1~5%未満)
発汗亢進(頻度不明)
7)眼
一過性皮質盲(頻度不明)
8)循環器
低血圧、高血圧(頻度不明)
9)泌尿器
多尿(頻度不明)
10)その他
発熱、体重減少(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
■ビンクリスチン硫酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、オンコビン注射用1mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼オンコビン注射用1mgの有効成分
ビンクリスチン硫酸塩
▼代表薬の添加物
・乳糖水和物
2)脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病の患者
症状を悪化させる恐れがある為使用できません。
3)髄腔内には投与しない事

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①骨髄抑制のある患者
本剤には骨髄抑制作用がある為使用には注意が必要です。
②感染症を合併している患者
本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させる恐れがある為使用には注意が必要です。
③神経・筋疾患の既往歴のある患者
④虚血性心疾患のある患者
⑤水痘患者
致命的な全身障害が現れる事がある為使用には注意が必要です。
2)腎機能障害患者
3)肝機能障害患者
本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある為使用には注意が必要です。
4)生殖能を有する者
5)妊婦
動物実験において催奇形性が報告されている為使用には注意が必要です。
6)授乳婦
7)小児等
8)高齢者
一般的に生理機能が低下している為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ビンクリスチン硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビンクリスチン硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ミコナゾール等)
アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP-450を阻害する為併用により本剤の代謝を抑制する事があり、本剤の筋神経系の副作用が増強する事がる為併用には注意が必要です。
2)フェニトイン
フェニトインの血中濃度が低下し、痙攣が増悪する事がある為使用には注意が必要です。
3)神経毒性を有する薬剤(白金含有の抗悪性腫瘍剤等)
神経系副作用が増強する事がある為使用には注意が必要です。
4)L-アスパラギナーゼ
神経系及び造血器系の障害が増強する可能性がある為併用には注意が必要です。
5)マイトマイシンC
呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすい為併用には注意が必要です。
6)他の抗悪性腫瘍剤
骨髄抑制等の副作用が増強する可能性がある為併用には注意が必要です。
心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等を発現したとの報告がある為併用には注意が必要です。
肝中心静脈閉塞症が発現したとの報告がある為併用には注意が必要です。
7)放射線照射
骨髄抑制等の副作用が増強する事がある為使用には注意が必要です。
肝毒性が増強するとの報告がある為併用には注意が必要です。

上記を使用している方は、ビンクリスチン硫酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビンクリスチン硫酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ビンクリスチン硫酸塩に関する
よくある質問
ビンクリスチン硫酸塩投与における血中濃度はどの様になりますか?

本剤2mgを投与した場合、血中濃度が投与直後より急速に低下するα期、比較的緩やかに低下するβ期、更に非常に緩徐な低下を示すγ期の3相性のパターンで消失していきます。中でも消失半減期はα期:0.077時間、β期:2.27時間、γ期:85.0時間で消失していきます。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

ビンクリスチン硫酸塩の代謝・排泄はどの部位になりますか?

ビンクリスチン硫酸塩の主要代謝部位は肝臓であり、肝チトクロームP-450 3Aが関与すると言われています。又主要な排泄経路は胆汁であると考えられています。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】

くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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