ガバペンチン

成分名

ガバペンチン

適応症状

てんかん発作

簡易説明

ガバペンチンはGABA誘導体の抗てんかん薬です。
適応症状としては、他の抗てんかん薬の効果が認められない際の補助薬として使用されます。
ただし単独で使用されることはなく、主となる抗てんかん薬と併用して使用することによって効果があらわれます。
日本では1993年に臨床試験が開始され、国内外の臨床試験の結果、既存の抗てんかん薬では発作の抑制が不十分な部分発作に、併用での有用性が認められたため2006年に製造販売承認を取得し、同年9月25日に発売を開始しています。

処方可能な診療科目

内科/精神科/心療内科/脳神経外科など

健康保険の適応

健康保険適用

病院で処方してもらう時の費用目安

診療代の目安:1,000~2,000円
薬代の目安:ガバペン錠200mg/27.6円(富士製薬工業)
      ガバペン錠300mg/36.4円(富士製薬工業)
      ガバペン錠400mg/45.2円(富士製薬工業)
      ガバペンシロップ5%/17.2円(富士製薬工業)
病院によって差があり、薬代の他に初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ガバペン錠/2006年9月発売
ガバペンシロップ5%/2011年10月発売

国内のジェネリック認可

なし

関連製品(先発薬)

ガバペン錠200mg/(富士製薬工業)
ガバペン錠300mg/(富士製薬工業)
ガバペン錠400mg/(富士製薬工業)
ガバペンシロップ5%/(富士製薬工業)

関連製品(ジェネリック)

なし

海外での使用実績

ガバペンチンは1973年、ワーナー・ランバート(現:ファイザー)の西ドイツ研究所で、抗てんかん薬として合成されました。イギリスおよびアメリカ合衆国で、成人におけるてんかんの部分発作に対する併用療法として承認され、1999年以降、欧州連合・アメリカで小児の適応を取得後は、アジアを含め世界中で抗てんかん薬として広く使用されています。外国においてガバペンチンを49gまで経口投与した例が報告されており、過量投与後にみられた主な症状は、浮動性めまい、複視、不明瞭発語、傾眠状態、嗜眠、軽度の下痢であったとされています。海外で実施された本剤を含む複数の抗てんかん薬における、てんかん、精神疾患等を対象とした199のプラセボ対照臨床試験の検討結果において、自殺念慮及び自殺企図の発現のリスクが、抗てんかん薬の服用群でプラセボ群と比較して約2倍高く、抗てんかん薬の服用群では、プラセボ群と比べ1000人あたり1.9人多いと計算されています。

効果・作用

てんかん発作は、脳の神経細胞の異常な興奮によって引き起こされます。
神経細胞の異常な興奮は、+の電気を帯びたイオンが-を帯びた細胞内へ流れ込むことによって異常興奮が起こると考えられており、本来の抗てんかん薬は異常興奮を抑えるために-のイオンを流し、てんかん発作を抑えてくれる働きがあります。
ですが、主となる抗てんかん薬だけでは抑えられない発作も存在します。
ガバペンチンはCa2+という興奮系のイオンが通過するための輸送体であるCaチャネルを阻害し、周りの細胞へ異常な電気が流れるのを抑える働きをします。
またCl-という抑制型のイオンの促進に関わる物質も含まれており、これをGABAといいます。
抑制性の神経系にはGABAの流入に関わる輸送体(GABAトランスポーター)が存在しておりガバペンチンはこの輸送体を活性化させ、抑制性神経系(GABA神経系)の機能を維持・増強させます。
ガバペンチンは脳内のGABA量を増やすことも知られており、これが結果としてCl-の促進に関与していると考えられています。
そのため、GABA誘導体と呼ばれています。
以上のような作用から、興奮性シグナルの作用を弱めたり、抑制性シグナルの作用を強めたりすることで、てんかんによる脳の異常を抑える薬です。
処方の際は必ず、他の抗てんかん薬とともに処方されます。このような位置づけから、ガバペンチンは主となる抗てんかん薬の補助薬と捉えることができます。

使用方法

ガバペン錠,ガバペンシロップともに、通常成人及び13歳以上の小児にはガバペンチンとして初日1日量600mg、2日目1日量1200mgをそれぞれ3回に分割経口投与します。
3日目以降は、維持量として1日量1200mg~1800mgを3回に分割経口投与していきます。
なお、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は2400mgまでとされています。
通常、3~12歳の幼児及び小児にはガバペンチンとして初日1日量10mg/kg、2日目1日量20mg/kgをそれぞれ3回に分割経口投与します。
3日目以降は維持量として、3~4歳の幼児には1日量40mg/kg、5~12歳の幼児及び小児には1日量25~35mg/kgを3回に分割経口投与していきます。
症状により適宜増減しますが、1日最高投与量は50mg/kgまでとなっています。
なお、いずれの時期における投与量についても、成人及び13歳以上の小児での投与量を超えないこととしています。

副作用

主な副作用
傾眠・浮動性めまい・頭痛・痙攣・失調・会話障害・感覚減退・記憶障害・振戦・体位性めまい・易刺激性などがみられます。

重大な副作用
急性腎障害・皮膚粘膜眼症候群・Stevens-Johnson症候群・薬剤性過敏症症候群・発疹・発熱・肝機能障害・臓器障害・リンパ節腫脹・白血球増加・好酸球増多・異型リンパ球出現・遅発性の重篤な過敏症状・肝炎・黄疸・横紋筋融解症・筋肉痛・脱力感・CK上昇・血中ミオグロビン上昇・尿中ミオグロビン上昇・アナフィラキシー・血管性浮腫・呼吸困難がみられることがあります。

その他の副作用
錯乱状態・神経過敏・不眠・不安・感情不安定・激越・攻撃性・チック・複視・眼振・眼異常感・霧視・脱毛・湿疹・じん麻疹・皮膚そう痒・悪心・嘔吐・上腹部痛・食欲減退・食欲不振・便秘・消化不良・下痢・流涎過多・食欲亢進・白血球数減少・白血球数増加・ヘモグロビン減少・ヘマトクリット減少・好中球数減少・好塩基球数増加・単球数増加・好酸球数増加・血小板数減少・高血圧・動悸・尿失禁・尿蛋白増加・勃起機能不全・AST増加・ALT増加・Al-P増加・γ-GTP増加・CK増加・サイロキシン減少・抗核因子陽性・倦怠感・関節痛・胸痛・無力症・顔面浮腫・回転性めまい・背部痛・体重増加・鼻炎・耳鳴・異常歩行・LDH増加・尿酸減少・血糖増加・血糖減少・転倒・転落・鼻咽頭炎・浮腫・運動障害・幻覚・ミオクローヌス・意識消失・弱視・視覚異常・多形紅斑・性欲変化・射精障害・無オルガズム症・血管浮腫・膵炎・低ナトリウム血症などがみられることがあります。
気になる症状がある場合、頻度や程度に関わらず、医師や薬剤師へ相談してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ガバペンチンを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ガバペン錠200mg/300mg/400mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼ガバペン錠の有効成分
ガバペンチン200mg/300mg/400mg
▼ガバペン錠の添加物
タルク、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、トリアセチン、プロピレングリコール、コポビドン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ステアリン酸マグネシウム

使用に注意が必要な方
次に当てはまる方は、使用に注意が必要です。
・腎機能障害のある方
・血液透析を受けている方
・妊婦、授乳婦
・小児
・高齢者

上記にあてはまる方は、ガバペンチンを使用する事が出来ない可能性があります。
ガバペンチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・制酸剤(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)
・オピオイド系鎮痛剤(モルヒネ)

上記を使用している方は、ガバペンチンを使用する事が出来ない可能性があります。
ガバペンチンを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

よくある質問
ガバペンチンとプレガバリンの違いは何ですか?

プレガバリンはリリカと呼ばれ、神経節のカルシウムチャネルをブロックすることで痛みを抑える働きがある薬です。最初は末梢性神経障害性痛の代表疾患である「帯状疱疹後神経痛」に対する健康保険適応のみでしたが、その後に有痛性糖尿病性神経障害や三叉神経痛も含む「末梢性神経障害性疼痛」に適応が拡大されました。 リリカは副作用が少なく、効果の出現が早いという利点があります。 末梢性神経障害性痛に対する使用法は、通常成人に対し初期用量は150mgを1日2 回に分けて経口投与し、1 週間をかけ1日量300mgまで漸増するとされています。
なぜここで比較されるかというと、ガバペンチンにおいても疼痛に関するグルタミン経路やGABA経路にも作用する薬剤で、他の薬剤よりもより広く作用することがわかっているからです。ただしガバペンチンの適応症状はてんかん発作のみのため、鎮痛剤としては保険適応されないことに違いがあります。処方目的の違いや作用機序の違いを理解することが必要です。

ガバペンシロップ使用のデメリットはありますか?

まずメリットでいえば、お子様や嚥下機能の低下した高齢者の方でも服用しやすいという点です。そしてデメリットですが、ストロベリー風味であるものの原薬の苦味は隠しきれていない点、保存方法が冷所(2~8℃)である点です。保存が難しいため持ち運びなどに気を使います。苦みと保存方法を考えると、錠剤にチャレンジできるのであれば移行したほうが良いかもしれません。

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