アクチノマイシンD

成分名

アクチノマイシンD

適応症状

・ウイルムス腫瘍、絨毛上皮腫、破壊性胞状奇胎
・ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、腎芽腫その他腎原発悪性腫瘍などの小児悪性固形腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法

簡易説明

アクチノマイシン Dは、アメリカにあるメルクが開発した抗がん剤です。DNAの転写を抑えることで、がん細胞の増殖を阻止し、効果を発揮します。小児がんにも使用できる薬剤となっており、販売も1969年からと非常に長い歴史を持っています。日本ではMSDが販売しておりましたが、現在はノーベルファーマに販売移管されております。

処方可能な診療科目

腫瘍内科/小児腫瘍科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:0.5mg約4453円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月日:1969年2月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

コスメゲン静注用0.5mg【製薬メーカー:ノーベルファーマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

アメリカやイギリス、アルゼンチンやエジプト、ブラジルなど多くの国で販売されています。

効果・作用

アクチノマイシン Dは、アメリカのメルク社で開発された薬剤です。本剤はさまざまな腫瘍に対して適応を取得していますが、特に悪性腫瘍の中でもウイルムス腫瘍、絨毛上皮腫、破壊性胞状奇胎に単独療法か放射線療法、外科的療に優れた効果を発揮します。加えて、ほかの抗がん剤との併用でも優れた効果が認められております。
本剤は、体内でDNAと結合することで、DNAの転写が抑制されることで効果を発揮すると考えられています。

動物を対象として実験において、アクチノマイシンDはHeLa細胞に対して核毒として作用することが示されました。また、細胞変性効果も示します。

ウイルムス腫瘍の患者を対象に国内一般臨床試験を実施しています。本剤と腎腫瘍剔除術もしくは腎腫瘍剔除術か放射線照射療法による治療を行ったところ、21名中17名、割合として81.0%の有効率が認められています。

絨毛上皮腫、破壊性胞状奇胎に対しては本剤単独で投与した国内一般臨床試験を行っています。結果、22名中21名で有効とされ、有効率は95.5%でした。また、本剤とメトトレキサート等の併用で治療を行った結果、43名中31名への効果が確認され、72.1%の有効率であることが認められました。

使用方法

<ウイルムス腫瘍、絨毛上皮腫、破壊性胞状奇胎に使用する場合>

成人には、1日量体重1kgあたり0.010mgを5日間の静脈内注射します。左記用量を1クールとします。
小児には、1日量体重1kgあたり0.015mgを5日間の静脈内注射します。左記用量を1クールとします。
休薬期間は基本的に2週間となっていますが、前回投与時に中毒症状が認められた場合は、2週間以上となっても、中毒症状が消失するまで休薬してください。

<小児悪性固形腫瘍(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、腎芽腫その他腎原発悪性腫瘍)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合>

●1回投与法
・体重が30kg以上の場合、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、1日1回1.25〜1.35mg/m2を静注または点滴静注します。1日最大投与量は2.3mgです。
・体重30kg未満の場合、0.045mg/kgを静注または点滴静注します。
●分割投与法
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、1日1回0.015mg/kgを静注もしくはは点滴静注します。5日間連続投与として、最大投与量は1日0.5㎎までとしてください。
休薬期間は基本的に2週間となっていますが、前回投与時に中毒症状が認められた場合は、2週間以上となっても、中毒症状が消失するまで休薬してください。
年齢や併用している薬剤、患者の症状にあわせて減量を行ってください。

副作用

主な副作用
最も多い副作用として、悪心・嘔吐が56%の割合で発現しています。ほかにも主なものとして、食欲不振や脱毛、神経過敏、血小板減少、白血球減少などがあげられます。

項目別の発現頻度は以下の通りです。
血液・・白血球減少/血小板減少(10%以上)、出血(1~10%未満)、貧血(1%未満)、網状赤血球減少/血球貪食症候群(頻度不明)
肝臓・・肝障害(AST上昇/ALT上昇等)(1~10%未満)、黄疸(1%未満)、腹水(頻度不明)
腎臓・・BUN上昇(頻度不明)
消化器・・悪心・嘔吐/食欲不振/口内炎(10%以上)、腹部膨満感/下痢/口唇炎/腹痛(1~10%未満)、嚥下困難/消化性潰瘍/食道炎 粘液便/イレウス/便秘/腸炎(頻度不明)
皮膚・・脱毛/色素沈着(10%以上)、発疹/皮膚炎(1~10%未満)、発赤/ざ瘡(頻度不明)
精神神経系・・神経過敏(10%以上)、不安感/頭痛/頭重/倦怠感(1~10%未満)、手足のしびれ/痙攣(1%未満)、嗜眠/めまい
その他・・鼻出血(1~10%未満)、発熱/血痰/血便/咽頭炎/眼瞼浮腫(1%未満)、不快感/胸水/視神経症/筋肉痛/胸部圧迫感(頻度不明)

<骨髄抑制>
頻度は不明ですが、再生不良性貧血、無顆粒球症、汎血球減少症、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血などが起こることがあります。骨髄機能が抑制されると、感染症や発熱性好中球減少症の発現リスクも高まります。
<アナフィラキシー、呼吸困難>
頻度不明ですが、症状があらわれた場合には投与を中止してください。
<肝静脈閉塞症>
頻度不明ですが、血管内凝固、多臓器不全、肝腫大、腹水などの重篤な肝障害があらわれることがあります。
<播種性血管内凝固症候群>
DICと略されることが多く、発現頻度は不明です。
<中毒性表皮壊死融解症、スティーブンジョンソン症候群、多形紅斑>
いずれも頻度不明ですが、症状が認められた際には投与を中止して、近くの医療機関を受診してください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■アクチノマイシンDを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼コスメゲンの有効成分
アクチノマイシンD
▼代表薬の添加物
D-マンニトール
・以前、アクチノマイシンDを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・水痘もしくは帯状疱疹の方は致命的な全身障害があらわれることがあるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・骨髄抑制のある方は重篤な骨髄抑制などの副作用リスクが高まるため、使用には注意をしてください。
・感染症を合併している方は免疫機能を抑制することによって症状を悪化させてしまう恐れがあります。
・腎機能障害のある方への臨床試験は実施しておりませんのでご注意ください。
・肝機能障害のある方への臨床試験は実施しておりませんのでご注意ください。
・生殖能のある方は、性腺への影響を考慮したうえで投与してください。
・妊婦もしくは妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましいとされています。
・小児は副作用の発現などに注意をしてください。

上記にあてはまる方は、アクチノマイシンDを使用する事が出来ない可能性があります。
アクチノマイシンDを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<抗悪性腫瘍剤/放射線照射>
骨髄機能抑制などの副作用が強まってしまう可能性があるため頻回に臨床検査を行ってください。また、白血病を含む二次性悪性腫瘍があらわれることがあります。本剤の投与が終わっても患者の状態や症状を観察してください。

上記を使用している方は、アクチノマイシンDを使用する事が出来ない可能性があります。
アクチノマイシンDを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

アクチノマイシンDに関する
よくある質問
過量投与の報告はありますか?

過量投与によって、消化管潰瘍のの粘膜炎、表皮剥脱・表皮融解等の皮膚障害、重篤な骨髄抑制、肝静脈閉塞症、急性腎不全、急性腎障害、死亡などが報告されています。

過量投与

【上記引用元:アクチノマイシン D インタビューフォーム】

調整法について教えてください。

本剤1バイアルあたり1.1mLの注射用水を加えて溶解します。1.1mLの整理食塩液では完全に溶解しなく、白濁を起こすため必ず注射用水で溶解してください。

調整法

【上記引用元:アクチノマイシン D インタビューフォーム】

参考元一覧

アクチノマイシン D 添付文書

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