タラポルフィンナトリウム

成分名

タラポルフィンナトリウム

適応症状

・外科的切除などの他の根治的治療が不可能な場合、あるいは、肺機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、かつ、内視鏡的に病巣全容が観察でき、レーザー光照射が可能な早期肺癌(病期 0 期又はⅠ期肺癌)
・腫瘍摘出手術を施行する場合のみの原発性悪性脳腫瘍
・化学放射線療法もしくは放射線療法後の局所遺残再発食道癌

簡易説明

タラポルフィンナトリウムは、日本石油化学が開発した光感受性物質で、PDTと呼ばれる光線力学的療法により抗腫瘍効果を示します。アメリカと日本での臨床試験を経て、2003年に早期肺癌治療薬として製造販売承認を取得しました。特に外科的切除が困難または肺機能温存が必要な患者向けに使用されます。以降、医師主導治験を通じて、悪性脳腫瘍(手術可能な場合限定)と化学放射線療法後の局所遺残再発食道癌に対する適応が追加承認され、両疾患については希少疾病用医薬品として指定されています。日本ではMeijiSeikaファルマが販売しております。

処方可能な診療科目

呼吸器外科/消化器内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:100mg約345789円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2004年6月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

注射用レザフィリン100mg【製薬メーカー:Meiji Seikaファルマ】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

海外での使用実績

外国では発売されておりません。

効果・作用

タラポルフィンナトリウムは、日本石油化学者が見つけたクロロフィル由来の光の感受性を持つ物質です。本剤は、腫瘍を集める習性があり、PDTと呼ばれる光線力学的療法と一緒に使用することで抗腫瘍効果を発揮します。
内視鏡的早期肺癌の患者を対象に国内第2相試験を実施しています。40名を対象としており、 PDT を実施した結果、病変別では著効は39病変中33であり、著効率 84.6%でした。奏効は39病変中37に認められ、奏功率 94.9%でした。症例別では著効35名中29名に認められ、著効率 82.9%と奏効率 94.3%でした。著効率の点推定値が、いずれも 80%を上回ったことから本剤を用いた PDT の有効性が確認されました。

原発性悪性脳腫瘍患者に対する PDT の有効性及と安全性を検討するために、医師主導治験が行われました。術前画像診断により原発性悪性脳腫瘍が疑われる患者を対象に、40 mg/m2を 1 回静脈内投与後、翌日に腫瘍摘出術を実施し、投与 24 時間後に腫瘍切除後の摘出腔あるいは残存病変に対して 27 J/cm2のレーザ光照射を行いました。22名のうち、12か月全生存率は 95.5%、6 か月無増悪生存率は 90.9%であり、初発膠芽腫 13 名では、生存率も無増悪生存率も100%でした。全生存期間中央値は 27.9 か月、無増悪生存期間中央値は 20.0 か月でした。

使用方法

早期肺癌、化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌の場合、40mg/m2を 1 回静脈内注射します。静脈内注射 4 ~ 6 時間後にレーザ光を病巣部位に照射してください。

原発性悪性脳腫瘍に使用する場合、40mg/m2を 1 回静脈内注射します。静脈内注射22~26時間後にレーザ光を病巣部位に照射してください。

副作用

食道痛やCRP上昇などがあげられます。

項目別の発現頻度は以下の通りです。
皮膚・・光線過敏症(5~20%未満)、瘙痒(5%未満)
血液・・血中アルブミン減少/リンパ球減少(5~20%未満)、白血球減少/好中球減少/リンパ球増多/白血球増多/単球増多/ヘモグロビン減少/血小板減少/血中カリウム上昇/好中球増多/ヘモグロビン増多/乳状血清(5%未満)
腎臓・・BUN上昇/蛋白尿(5%未満)
呼吸器・・喀痰/血痰/咳/咽頭痛(5~20%未満)、しゃっくり/低酸素症(5%未満)
消化器・・食道痛(20%以上)、嚥下障害/食道狭窄(5~20%未満)、下痢/嚥下痛/上腹部痛/悪心/嘔吐/便秘/食道炎(5%未満)
その他・・CRP上昇(20%以上)、発熱(5~20%未満)、心電図異常(房室ブロック/洞性頻脈)/倦怠感/胸部不快感/低カルシウム血症/背部痛(5%未満)

重大な副作用
<呼吸困難>
2%の割合で確認されています。早期肺癌において、レーザ光照射後、肉芽形成に起因する気管狭窄による呼吸困難があらわれることがありますので、注意をしてください。

<肝機能障害>
32.4%の割合で確認されています。:AST、ALT、血中ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障
害があらわれることがあるので、症状が認められた際には肝機能検査を定期的に行うなど処置をしてください。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■タラポルフィンナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。

▼注射用レザフィリンの有効成分
タラポルフィンナトリウム

▼代表薬の添加物
pH調整剤

・以前、タラポルフィンナトリウムを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・ポルフィリン症の方は、症状を悪化させる危険性があるため使用できません。
・肺癌において、腫瘍が気管支軟骨層より外側に浸潤している方は、レーザ光が十分到達しない可能性があります。気管支壁外に浸潤している患者では穿孔のリスクがありますので使用できません。
・肺癌において、太い気管の広範な病巣又は気管狭窄を来している方は、呼吸困難、窒息を起こす可能性がありますので使用できません。
・肺癌において、亜区域支より末梢側に腫瘍のある方は、一般にレーザ光照射が困難とされているため使用できません。
・食道癌において、化学放射線療法又は放射線療法前のCT検査で腫瘍が大動脈に浸潤していると診断された方は、食道大動脈瘻を発現し、死亡に至る可能性があるため使用できません。

使用に注意が必要な方
・光線過敏症を起こすことがある医薬品を併用している方は、患者を薄暗い室内で過ごさせるなど十分な管理を行ったうえで慎重に投与をしてください。
・肺癌における気管癌の方は、気管癌の患者へのレーザ光照射後に、肉芽形成に起因した気管狭窄による呼吸困難があらわれたとの報告があります。
・肝障害の方は、排泄が遅延し、高い血中濃度が持続する恐れがありますので注意をしてください。

上記にあてはまる方は、タラポルフィンナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
タラポルフィンナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<光線過敏症を発現することがある薬剤(テトラサイクリン系薬剤/スルホンアミド系薬剤/
フェノチアジン系薬剤/スルホニルウレア系血糖降下剤/チアジド系利尿剤/ニューキノロン系抗菌剤/非ステロイド系消炎鎮痛剤/フルオロウラシル系抗悪性腫瘍剤/メトトレキサート/グリセオフルビン/メトキサレンなど)>
<光線過敏症を発現することがある食品(クロレラ加工品)>

本剤は、光の感受性を高める作用があるため、併用することで光線過敏症が発現す
るおそれがあります。本剤と併用、もしくは本剤投与の前後にこれらの薬剤の投与または食品を摂取する場合には、直射日光を避けさせてください。

上記を使用している方は、タラポルフィンナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
タラポルフィンナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

タラポルフィンナトリウムに関する
よくある質問
本剤を繰り返し投与しても問題ないでしょうか?

本剤を用いて光線力学的療法を繰り返し行った際の安全性は確立しておりません。再び本剤を投与するときには、休薬期間を1か月以上置いて、光線過敏反応が起こらないことを確認したうえで処方してください。

全般的留意事項

【上記引用元:注射用レザフィリン100mg】

本剤投与後、注意をすることはありますか?

本剤を投与してから2週間は、直射日光を避けてもらい、遮光カーテンなどを用いてて照度500ルクス以下の室内で過ごしてもらうよう患者さんにご指導ください。また、本剤投与2週間経過してもなお、手掌背部を直射日光で5分間曝露させたとき、紅斑、水疱等の光線過敏反応を示した場合にはさらに1週間直射日光を避けさせてください。その後、異常がみられなくなるまで、繰り返してください。

全般的留意事項

【上記引用元:注射用レザフィリン100mg】

参考元一覧

注射用レザフィリン100mg 添付文書

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