成分名 |
トレミフェンクエン酸塩 |
適応症状 |
閉経後乳癌 |
簡易説明 |
・乳腺や乳管にできた「乳がん組織」においてエストロゲンの作用を妨害する抗エストロゲン作用があり、乳がんの進行を抑制する働きがあります。主に進行性・再発性の乳がんを治療するのに使用されております。
・ステロイド性の抗女性ホルモン薬(抗エストロゲン薬)となっております。閉経後で、女性ホルモン受容体(HR:ER・PgR)が陽性の場合に優先されて使用されます。 |
処方可能な診療科目 |
内科/産婦人科/腫瘍内科など |
健康保険の適応 |
健康保険適応 |
病院で処方してもらう時の費用目安 |
診察料などの目安 :約10,000円~
薬代1錠あたりの目安:1錠40mg 約212.5円/錠
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。
高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。 |
厚生労働省による認可、または発売年月日 |
販売開始年月 : 1995年6月 |
国内のジェネリック認可 |
あり |
関連製品(先発薬) |
フェアストン錠40/60【製薬メーカー:日本化薬】 |
関連製品(ジェネリック) |
トレミフェン錠40mg/60mg【製薬メーカー:メディサ新薬】 |
効果・作用 |
・乳がんは乳腺や乳管にできたがんであり、乳がんの発生や成長には女性ホルモンのエストロゲンが関係しております。トレミフェンは、乳癌の増殖に必要なエストロゲンの働きを抑制します。閉経前はエストロゲン(女性ホルモン)は主に卵巣から生成され、閉経後は主に副腎から生成されます。エストロゲンが、がん細胞内にあるエストロゲン受容体に結合すると乳癌細胞が増殖します。トレミフェンは、エストロゲンであるエストラジオールがエストロゲン受容体に結合するのを邪魔し、エストロゲンの働きを抑え乳癌細胞の増殖を抑え込みます。抗がん剤の化学療法に比べて細胞毒作用による骨髄抑制や脱毛などの重篤な副作用が少ないのが特徴となっております。
≪作用機序≫
トレミフェン及び主代謝物であるN-デスメチルトレミフェンは、in vitroにおいてエストラジオールにより増殖促進されたヒト乳癌細胞(T-47D)の増殖を阻害します。さらにトレミフェンは、in vivoにおいて未成熟ラットのエストラジオールによる子宮重量の増加を抑制します。
≪トレミフェンの特徴≫
・エストロゲン骨格を有していない、非ステロイド性の抗エストロゲン薬となっており、他のホルモンへの影響は少ないと考えられています。
・細胞毒性によって抗がん作用を示す薬ではないため、代表的な抗がん剤よりも副作用は少ないです。分子標的薬などの抗がん剤に比べても、副作用は軽減されています。
≪乳がんとは≫
・「乳腺」にできる癌のことです。
・「乳腺」は「小葉」とよばれる、乳汁をつくる部分と、小葉でつくられた乳汁の通り道である「乳管」から作られております。
・乳がんができた場所に応じ名前が変わります。
乳管にできるがん→「乳管がん」
小葉にできるがん→「小葉がん」
となっております。進行度に応じて初期(0期)の「非浸潤がん」、さらに進行した「浸潤がん」があります。
「非浸潤がん」とは、乳管や小葉の基底膜の中だけに癌細胞が留まっているものです。
「浸潤がん」とは、癌細胞が乳管や小葉の基底膜を破って外に飛び出しているものです。
・乳がんの治療においては、「非浸潤がん」と「浸潤がん」では治療内容が異なります。「非浸潤がん」は癌細胞が基底膜の中に留まって他のリンパ節など散らばっている可能性が低いため、抗がん剤を用いた化学療法は必要ありません。
≪閉経後乳がんのホルモン療法について≫
・閉経後は「脂肪細胞」にある「アロマターゼ」によって「エストロゲン」が作られます。服用は、アロマターゼに作用してエストロゲンを作らせないアロマターゼ阻害薬か、エストロゲンが癌細胞に作用しないようにブロックする抗エストロゲン薬のどちらか一つとなります。
・アロマターゼ阻害薬と抗エストロゲン薬を併用する臨床試験を各国で行っており、タモキシフェンとアナストロゾールを併用した臨床試験(ATAC試験)では、併用すると効果が劣ったとの報告があるので、現在はどちらか一つを服用する治療法となっております。
≪トレミフェンの利点≫
・服用する利点としては、骨や血管に対してはエストロゲンホルモンのような効果があるのが特徴で、「骨粗しょう症」や「動脈硬化」を予防するとされています。
▼他の抗エストロゲン薬▼
ノルバデックス/フェソロデックス |
使用方法 |
・成人にはトレミフェンとして40mgを1日1回経口投与すること
・既治療例(薬物療法及び放射線療法などに無効例)に対しては、成人にトレミフェンとして120mgを1日1回経口投与すること
※症状により適宜増減します |
副作用 |
主な副作用
トレミフェンクエン酸塩には、副作用が起こる可能性があります。
トレミフェンクエン酸塩を服用した場合、どのような副作用が起こるか知っておきましょう。
悪心、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、下痢、ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、白血球減少
重大な副作用
極めて稀な副作用ですが、重度の副作用にご注意下さい。
重篤な副作用の発生率は低いですが、用法や用量を間違えると命に危険を及ぼすような、重篤な副作用が発生する恐れもあります。
異変を感じた場合は、直ぐに医師の診察を受け指示に従いましょう。
血栓塞栓症、静脈炎、脳梗塞、肺塞栓、血栓性静脈炎、肝機能障害、黄疸、子宮筋腫
その他の副作用
貧血、めまい、性器出血、顔面潮紅、倦怠感、発汗、コレステロール上昇、ほてり、高カルシウム血症、ビリルビン上昇、過敏症、発疹、かゆみ、血小板減少、視覚障害、角膜変化、頭痛、うつ症状、膣分泌物、子宮内膜増殖、脱毛、トリグリセライド上昇、BUN上昇、浮腫
※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。 |
使用に注意が必要な方 使用出来ない方 |
使用が出来ない方 ■トレミフェンクエン酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方フェアストンは、アレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼フェアストンの有効成分
トレミフェンクエン酸塩
▼代表薬の添加物
トウモロコシデンプン、乳糖水和物、ポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、無水ケイ酸
・妊婦/産婦
・QT延長
・低カリウム血症/先天性QT延長症候群/クラス1A抗不整脈薬投与中/クラス3抗不整脈薬投与中
使用に注意が必要な方 ・高齢者
・心筋虚血/骨髄抑制/心疾患/不整脈/心血管系障害/重度徐脈
上記にあてはまる方は、トレミフェンクエン酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。 トレミフェンクエン酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。 |
併用禁忌薬 |
併用禁忌薬 1a群不整脈用剤/キニジン/プロカインアミド/3群不整脈用剤/アミオダロン/ソタロール/腎臓を介してカルシウムの排泄を減少させる薬物/チアジド系薬剤/クマリン系抗凝血剤/ワルファリン/フェノバルビタール/フェニトイン/カルバマゼピン/リファンピシン類/リトナビル
上記の併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です 現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。 |
よくある質問 |
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