ポルフィマーナトリウム

成分名

ポルフィマーナトリウム

適応症状

手術等の他の根治的治療が不可能な場合、あるいは、肺又は子宮頸部の機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、かつ、内視鏡的に病巣全容が観察でき、レーザー光照射が可能な早期肺癌(病期 0 期又は病期Ⅰ期肺癌)、表在型食道癌、表在型早期胃癌、子宮頸部初期癌及び異形成

簡易説明

ポルフィマーナトリウムは、アメリカのファイザー社とカナダのクアドラ・ロジック・テクノロジー社が開発した腫瘍親和性光感受性物質です。ブタ血液中のヘマトポルフィリン二塩酸塩を原料とし、エーテルとエステル結合の多量体を作り出します。これは、特定波長のレーザー光と組み合わせて「PDTと呼ばれている光線力学的療法」である新しい癌治療に使用されます。試験では早期肺癌、表在型食道癌、表在型早期胃癌、子宮頸部初期癌等に対する効果が確認され、1994年に承認されました。

処方可能な診療科目

呼吸器外科/消化器外科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

本剤は処方薬ではありません。
薬代1瓶あたりの目安:75mg約163609円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

2008年6月発売

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

フォトフリン静注用75mg【製薬メーカー:ファイザー】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ポルフィマーナトリウムは、ファイザーとクアドラ・ロジック・テクノロジー社によって共同で作られた薬剤です。本剤はPDTと呼ばれる光線力学的療法と一緒に使用することで、肺癌、食道癌、胃癌などの表在癌や子宮頸部の初期癌・異形成に対する抗腫瘍効果を発揮します。
機序としては、本剤が腫瘍細胞に取り込まれると、レーザー光照射により励起され、腫瘍組織の中にある酸素と反応し、一重項酸素などの活性酸素を発生させます。この活性酸素が腫瘍細胞のミトコンドリアの酵素系を阻害し、細胞内呼吸に障害を与えることが主な機序と考えられています。

培養腫瘍細胞や担癌動物などを用いた試験においても、本療法は細胞増殖を抑制する作用もしくは細胞を殺す作用を示すことがわかっております。

本剤とエキシマ・ダイ・レーザーを用いて国内11施設で実施された臨床試験91名の臨床効果は以下の通りでした。
【臨床病期0期肺癌】 奏効症例/評価症例:30/33 奏効率:90.9%
【臨床病期Ⅰ期肺癌】奏効症例/評価症例: 4/6 奏効率:66.7%
【表在型食道癌】 奏効症例/評価症例:9 /10 奏効率:90.0%
【表在型早期胃癌】 奏効症例/評価症例:24/24 奏効率:100.0%
【子宮頸部初期癌及び異形成】 奏効症例/評価症例:17/18 奏効率:94.4%

使用方法

1kgあたり2 mgを 1 回静脈内注射します。静脈内注射48~72時間後レーザー光を病巣部位に照射します。

副作用

主に、光線過敏症や色素沈着、発疹、肝機能検査値異常、発熱などがあげられます。
臨床試験では165例中、93例に副作用が認められており、割合としては56.4%に確認されております。

項目別の発現頻度は以下の通りです。


皮膚・・光線過敏症/色素沈着(5%以上)
過敏症・・発疹(5%以上)、発赤/紅斑/顔面浮腫/顔面潮紅(0.1~5%未満)
肝臓・・AST(GOT)/ALT(GPT)/Al-P上昇等の肝機能検査値異常(5%以上)
呼吸器・・咳嗽/喀痰/血痰(5%以上)、呼吸困難/咽頭痛/無気肺(0.1~5%未満)
消化器・・心窩部痛/食欲不振/悪心/嘔吐(0.1~5%未満)
血液・・白血球増多/貧血(5%以上)
その他・・血清総蛋白の低下/発熱(5%以上)、CRP上昇/潜血反応陽性/胸部痛(0.1~5%未満)、治療部位の出血・疼痛/腟分泌物の増加(頻度不明)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
■ポルフィマーナトリウムを配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方はアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼フォトフリン静注の有効成分
ポルフィマーナトリウム
▼代表薬の添加物
pH調節剤

・以前、ポルフィマーナトリウムを使用して過敏症となったことのある方は使用できません。
・肺癌において、腫瘍が気管支軟骨層より外側に浸潤している方は、レーザ光が十分到達しない可能性があります。気管支壁外に浸潤している患者では穿孔のリスクがありますので使用できません。
・肺癌において、太い気管の広範な病巣又は気管狭窄を来している方は、呼吸困難、窒息を起こす可能性がありますので使用できません。
・食道癌において全周囲性の腫瘍のある方は、狭窄をきたすリスクがあります。
・.以下の部位に腫瘍のある方は一般にレーザー光照射が困難とされているため、使用できません。
*早期肺癌における亜区域支より末梢側
*表在型食道癌における食道入口部、食道・胃接合部
*表在型早期胃癌における食道・胃接合部、幽門輪
*子宮頸部初期癌及び異形成において開口摂子を用いても扁平円柱上皮境界の上限を確認できないもの

使用に注意が必要な方
・光線過敏症を起こすことがある医薬品を併用している方は、患者を薄暗い室内で過ごさせるなど十分な管理を行ったうえで慎重に投与をしてください。
・高齢者は肝機能が低下していることが多いため、本剤投与後は定期的に肝機能検査を実施してください。

上記にあてはまる方は、ポルフィマーナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ポルフィマーナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
<光線過敏症を起こすことがある薬剤(テトラサイクリン系薬剤/スルホンアミド系薬剤/フェノチアジン系薬剤/スルホニルウレア系血糖降下剤/チアジド系利尿剤/エノキサシン、スパルフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌剤/ピロキシカム、ケトプロフェン外用剤などの非ステロイド性消炎鎮痛剤/フルオロウラシル系抗悪性腫瘍剤/メトトレキサート/グリセオフルビン/メトキサレンその他の光線過敏症を起こすことがある医薬品)、光線過敏症を起こすことがある食品(クロレラ加工品など)>

上記を使用している方は、ポルフィマーナトリウムを使用する事が出来ない可能性があります。
ポルフィマーナトリウムを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
なし

併用禁忌薬がないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ポルフィマーナトリウムに関する
よくある質問
光線力学的治療に際して注意することはありますか?

腫瘍の浸潤範囲に留意し、腫瘍周辺部まで十分にレーザー光を照射してください。また、諸臓器の呼吸性移動、心拍動、蠕動もしくは攣縮などによってレーザー照射が不十分になることがありますので気を付けてください。

全般的留意事項

【上記引用元:フォトフリン静注用75mg 医薬品インタビューフォーム】

表在型食道癌に本剤を使用する際に注意することはありますか?

本療法が適応となるのは、横への広がりが 1/3~1/2 周程度で 2×2cm 以内の内視鏡的でとらえられる範囲内にあり、粘膜切除が不可能な上皮内から粘膜下層までの腫瘍で、画像診断上リンパ節転移がないものとしています。上記以外の病変には使用しないでください。

本療法を行うにあたっては、次の点を考慮すること

【上記引用元:フォトフリン静注用75mg 医薬品インタビューフォーム】

参考元一覧

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