グスペリムス塩酸塩

成分名

グスペリムス塩酸塩

適応症状

腎移植後の拒絶反応(促進型及び急性)の治療

簡易説明

グスペリムス塩酸塩は免疫抑制剤として働き、主な医薬品にはスパニジン点滴静注用100mgがあります。グスペリムス塩酸塩の臨床試験より、強い抗腫瘍作用並びに強力な免疫抑制作用を示す事が認められています。また急性拒絶反応に対しても、予防効果・治療効果を示しており、促進型拒絶反応及び急性拒絶反応のどちらに対しても効果が認められた事から「腎移植後の拒絶反応の治療」に用いられています。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/腎臓内科外科/泌尿器科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:100mg約43,700円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

厚生労働省による認可、または発売年月日

グスペリムス塩酸塩を主成分とする医薬品であるスパニジン点滴静注用100mgは1994年1月19日に製造販売が承認され、1994年4月15日に薬価基準に収載されました。その後1994年4月21日に発売されました。また販売名変更に伴い新たに2008年7月29日に製造販売が承認され、2008年12月19日に薬価基準に収載となりました。

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

スパニジン点滴静注用100mg【製薬メーカー:日本化薬株式会社】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

スパニジン点滴静注用100mgはグスペリムス塩酸塩を主成分とし、その適応症状は腎移植後の促進型拒絶反応および急性拒絶反応の治療に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
グスペリムス塩酸塩は細胞傷害性Tリンパ球の前駆細胞から細胞傷害性Tリンパ球への成熟、及び細胞傷害性Tリンパ球の増殖を抑制することによって拒絶反応の進行を妨げるとともに、活性化Bリンパ球の増殖又は分化を抑制することによって抗体産生を抑制します。

【特性】
1)2次細胞傷害性Tリンパ球(2次CTL)誘導において、CTL前駆細胞からCTLへの成熟過程の後期、CTLからCTLエフェクター細胞への増殖及び分化を阻害します。
2)活性化Bリンパ球に直接作用することにより、抗体産生能を抑制します。
3)インターロイキン2(IL-2)の産生能は抑制しません。
4)急性拒絶反応に対して、予防効果・治療効果を示します。
5)促進型拒絶反応及び急性拒絶反応に対して効果が認められています。
6)メチルプレドニゾロン・パルス療法と併用する事により、効果が増強する事が認められています。

【促進型拒絶反応とは】
移植から3~5日後に発生し、移植片抗原に対する既存の非補体結合抗体により引き起こされ、病理組織学的には細胞真浸潤を特徴とし、時に血管の変化を伴う事を言います。
【急性拒絶反応とは】
移植から遅れて(約5日後)に発生します。(超急性及び促進型拒絶反応とは異なり、急性拒絶反応は、既存の抗体ではなく、移植片に対する新たなT細胞応答を介して生じるため)同種移植片の組織適合性抗体に対するT細胞介在性の遅延型過敏反応により引き起こされます。短核細胞浸潤を特徴とし、様々な程度の出血、浮腫、及び壊死を伴いますが、血管の形態・機能は一般に保たれています。

使用方法

スパニジン点滴静注用100mgを用いて、腎移植後の拒絶反応の治療を行う場合、通常、成人には、主成分であるグスペリムス塩酸塩として、1日1回、3~5mg/kgを注射用水、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解し、更に100~500mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を用いて希釈を行い、投与時間は3時間かけて点滴静注を行います。なお、投与期間は連続7日間としますが、患者の病態に応じ連続10日間投与する事も可能です。

副作用

重大な副作用
1)血液障害
汎血球減少、白血球減少、血小板減少、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少が現れる事があります。
2)呼吸抑制
3)進行性多巣性白質脳症(PML)
意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状が現れる事があります。
4)BKウイルス腎症
5)感染症
免疫抑制剤を投与された患者において、肺炎、敗血症が現れる事があります。また、免疫抑制剤を投与されたB型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化が現れる事があります。

その他の副作用
精神神経系、消化器、肝臓、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)精神神経系
痺れ感(顔面、口唇周囲、手足等)、頭痛・頭重(1%以上)
2)消化器
悪心・嘔気、食欲不振(1%以上)
嘔吐、胃部不快感、胸やけ、腹部膨満感(1%未満)
3)肝臓
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇(1%以上)
γーGTP上昇
4)その他
顔面潮紅、ほてり、倦怠感、総蛋白減少、トリグリセライド上昇(1%以上)
総コレステロール減少、尿糖、電解質異常(カリウム異常、ナトリウム異常等)(1%未満)

精神神経系の痺れ感等のように異常が認められた場合は速やかに投与を中止し主治医への相談を仰ぐようにしましょう。

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)妊婦又は授乳婦
動物実験において、胎仔又は出生仔の発育遅延、胎生期死亡等が認められている為使用できません。また、母乳中へ移行する事が報告されている為使用できません。
2)本剤の成分及び添加物に対し過敏症の既往歴のある方
■グスペリムス塩酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、スパニジン点滴静注用100mgはアレルギー反応を起こしてしまう為、服用できません。
▼スパニジン点滴静注用100mgの有効成分
グスペリムス塩酸塩
▼代表薬の添加物
・乳糖水和物、pH調整剤

使用に注意が必要な方
1)骨髄抑制のある患者
骨髄抑制を増悪させる恐れがある為使用には注意が必要です。
2)出血性素因のある患者
出血傾向を増長させる恐れがある為使用には注意が必要です。
3)腎機能又は肝機能が著しく低下している患者
副作用(特に血液障害、消化器症状)の発現率が高くなるため使用には注意が必要です。
4)小児等
小児に対する安全性は使用経験が少ない為確立していない為使用には注意が必要です。
5)免疫抑制剤による治療を受けた腎移植患者
腫瘍(特に悪性リンパ腫、皮膚がん)の発生率が高いとする報告がある為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、グスペリムス塩酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
グスペリムス塩酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

グスペリムス塩酸塩に関する
よくある質問
グスペリムス塩酸塩点滴以上中終了後はその効果はどのくらいの時間持続しますか?

臨床試験において、静脈内単回投与した結果より生物学的半減時間はt1/2αは12.6分、t1/2βは6.45時間と報告されている為、ゆっくりと消失しながら24時間後まで効果は持続する事が認められています。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

グスペリムス塩酸塩を投与において、点滴静注にて3時間かけて投与するのはなぜですか?

グスペリムス塩酸塩を急速静注してしまうと血漿中濃度の急激な上昇に伴う呼吸抑制が発現してしまう為、それを避けるために3時間かけて点滴静注する事にしています。
インタビューホーム 【日本化薬株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【日本化薬株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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