ビノレルビン酒石酸塩

成分名

ビノレルビン酒石酸塩

適応症状

1)非小細胞肺癌、2)手術不能又は再発乳癌

簡易説明

ビノレルビン酒石酸塩を主成分とする医薬品であるナベルビン注10/40はニチニチソウの茎、葉、根から抽出された成分から半合成されたビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤になります。非小細胞肺がん及び手術不能又は再発乳がんに対して臨床効果が認められており、その機序は有糸分裂微小管の構成タンパク質チュブリンに選択的に作用し、その重合を阻害する事により抗腫瘍効果を発現します。

処方可能な診療科目

内科/外科/整形外科/小児科/産婦人科/呼吸器内科外科/麻酔科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

薬代1瓶あたりの目安:10mg約3,300円/40mg約11,740円
薬代後発薬1瓶の目安:10mg約2,400円/40mg約8,500円
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になります。

高額療養費制度の対象になるため患者の年齢、所得水準によっても異なってきます。

厚生労働省による認可、または発売年月日

ビノレルビン酒石酸塩を主成分とする医薬品であるナベルビン注10/40は1999年3月12日に製造販売が承認され、1999年5月7日に薬価基準に収載されました。その後1999年5月24日に発売開始となりました。

国内のジェネリック認可

国内ジェネリック認可あり

関連製品(先発薬)

ナベルビン注10/40【製薬メーカー:協和キリン株式会社】

関連製品(ジェネリック)

ロゼウス静注液10mg/40mg【製薬メーカー:日本化薬株式会社】

効果・作用

ビノレルビン酒石酸塩を主成分とする医薬品であるナベルビン注10/40はは1)非小細胞肺癌、2)手術不能又は再発乳癌に対して効果のある医薬品になります。

【作用機序】
有糸分裂微小管の構成タンパク質チュブリンに選択的に作用することで、その重合を阻害する事によって抗腫瘍効果を発現します。

【小細胞肺癌と非小細胞肺癌とは】
肺にできる悪性腫瘍が肺癌であり、組織型で分類すると「小細胞肺癌」と、それ以外の「非小細胞肺癌」の2種類に分けられます。これらは互いに治療方針が大きく異なります。
小細胞肺癌は肺門部・肺野部に発生しやすく、進行が速い・転移しやすいと言う特徴を持ち、早期発見する事が非情に難しく、発見時には腫瘍やリンパ節転移が大きくなっていることが多く、根治する事が難しい疾患です。主な原因として喫煙が挙げられます。
非小細胞肺癌は更に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌に分けられます。腺癌は肺野部にできやすく、肺癌の中で最も多く、早期では症状が現れにくいのが特徴です。扁平上皮癌は肺門部・肺野部にできやすく咳や血痰等の症状が現れやすいのが特徴です。大細胞癌は肺野部にできやすく発生頻度は比較的稀です。進行速度が速く小細胞肺癌と同じような性質を示す事があります。

使用方法

【非小細胞肺がん】
通常、成人に投与する場合には主成分であるビノレルビンを、1回量20~25mg/m2で1週間間隔で静脈内に緩徐に注射を行います。
なお、投与する患者の年齢、及び症状により適宜増減する事が認められていますが、1回最高用量は25mg/m2になります。

【手術不能または再発乳がん】
通常、成人に投与する場合には主成分であるビノレルビンを、1回量25mg/m2で、1週間間隔で2週間連続投与を行い、その後3週目は休薬します。
なお、投与する患者の年齢、症状によって適宜増減する事が認められています。

副作用

重大な副作用
1)骨髄機能抑制
汎血球減少・無顆粒球症・白血球減少(84.4%)、好中球減少(75.8%)、貧血(74.1%)、血小板減少(28.5%)等が現れる事があります。
2)間質性肺炎(1.4%)、肺水腫(0.1%未満)
3)気管支痙攣(0.1%未満)
息切れ、呼吸困難等の異常が認められる場合があります。
4)麻痺性イレウス(0.4%)
5)心不全(0.1%)、心筋梗塞(0.1%未満)、狭心症(0.1%未満)
6)ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(0.1%未満)
発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状が見られる事があります。
7)肺塞栓症(頻度不明)
8)抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(0.1%)
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群が現れる事があります。
9)重篤な腎障害
急性腎障害(0.2%)等が現れる事があります。
10)急性膵炎(0.1%未満)
腹痛、血清アミラーゼ上昇等が認められることがあります。

その他の副作用
過敏症、呼吸器、循環器、神経・筋症状、精神神経系、肝臓、腎臓、消化器、皮膚、注射部位、代謝栄養障害、その他の副作用が報告されております。

発生頻度は以下の通りです。
1)過敏症
アレルギー様症状(5%未満)
2)呼吸器
呼吸困難、喘鳴(5%未満)
3)循環器
不整脈、血圧低下、血圧上昇、動悸、頻脈(5%未満)
4)神経・筋症状
知覚異常・腱反射減弱、筋肉痛、関節痛、筋力低下、腰背痛、筋痙攣、運動障害、排尿障害(5%未満)
5)精神神経系
頭痛、不穏、眩暈、不眠(5%未満)
激越(頻度不明)
6)肝臓
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇(5~20%未満)
肝機能障害、総ビリルビン上昇、ウロビリノーゲン陽性、γーGTP上昇(5%未満)
7)腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇(5~20%未満)
8)消化器
食欲不振、嘔気(20%以上)
嘔吐、便秘、下痢(5~20%未満)
口内炎、腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、腹部膨隆、嚥下障害(5%未満)
9)皮膚
脱毛(5~20%未満)
紅斑・丘疹、水疱・落屑、爪の異常、そう痒(5%未満)
10)注射部位
静脈炎(5~20%未満)
11)代謝栄養障害
総蛋白低下、血漿中電解質(ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム)、(20%以上)
アルブミン低下(5~20%未満)
尿糖(5%未満)
12)その他
発熱、全身倦怠感、CRPj上昇(5~20%未満)

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
1)骨髄機能低下の著しい患者
重症感染症を併発し、致命的となることがある為使用できません。
2)重篤な感染症を合併している患者
感染症が悪化し致命的となることがある為使用できません。
3)本剤及び他のビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤の成分に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者
■ビノレルビン酒石酸塩を配合した医薬品の添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、添加物にアレルギーをお持ちの方、ナベルビン注10/40はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼ナベルビン注10/40の有効成分
ビノレルビン酒石酸塩
・添加物
無し
4)髄腔内には投与しない事

使用に注意が必要な方
1)合併症・既往歴等のある患者
①骨髄機能抑制のある患者(骨髄機能低下の著しい患者を除く)
骨髄機能をより強く抑制する恐れがある為
②間質性肺炎又は肺線維症の既往歴のある患者
症状が再発する恐れがある為使用には注意が必要です。
③神経・筋疾患の合併あるいは既往歴のある患者
末梢神経障害(腱反射減弱、知覚異常等)が強く現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
④虚血性心疾患又はその既往歴のある患者
症状を誘発もしくは悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
⑤便秘傾向の強い患者
症状を悪化させる恐れがある為使用には注意が必要です。
2)肝機能障害患者
副作用が強く現れる恐れがある為使用には注意が必要です。
3)生殖能を有する者
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮しなければなりません。
4)妊婦
動物実験において催奇形性が報告されている為使用には注意が必要です。
5)授乳婦
動物実験において、乳汁中へ移行が報告されている為使用には注意が必要です。
6)小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していないため使用には注意が必要です。
7)高齢者
一般的に生理機能が低下していることが多く、白血球減少、貧血、発熱、間質性肺炎、血小板減少、BUN上昇、便秘等の副作用があらわれやすい為使用には注意が必要です。

上記にあてはまる方は、ビノレルビン酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビノレルビン酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
1)アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、マクロライド系抗生剤(クラリスロマイシン、エリスロマイシン等)、カルシウム拮抗剤(ニフェジピン、ジルチアゼム、ベラパミル等)、ベンゾジアゼピン系薬剤(トリアゾラム、ジアゼパム、ミダゾラム等)
他のビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤との併用で筋神経系の副作用の増強が報告されている為併用には注意が必要です。
2)マイトマイシンC
息切れ及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている為使用には注意が必要です。
3)他の抗悪性腫瘍剤、及び放射線療法
骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある為併用には注意が必要です。

上記を使用している方は、ビノレルビン酒石酸塩を使用する事が出来ない可能性があります。
ビノレルビン酒石酸塩を使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ビノレルビン酒石酸塩に関する
よくある質問
ビノレルビン酒石酸塩を単回静脈内投与した際の血中濃度推移はどの様になりますか?

各種悪性腫瘍患者を対象とした臨床試験において20mg/m2を投与した場合消失半減期は32.5時間と比較的緩やかに消失していく事が認められています。
インタビューホーム 【協和キリン株式会社】

主な代謝部位及び代謝経路はどの様になりますか?

代謝部位は肝臓になります。代謝経路については①エステルの加水分解、②芳香環の水酸化、③エポキシド形成、④Nの酸化と推定されています。
インタビューホーム 【協和キリン株式会社】

参考元一覧

インタビューホーム 【協和キリン株式会社】
医療用医薬品の添付文書情報 【PMDA】
くすりのしおり 【くすりの適正使用協議会】

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