ペルツズマブ遺伝子組換え

成分名

ペルツズマブ遺伝子組換え

適応症状

・HER2陽性の乳がん
・がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行、再発の結腸がん、直腸がん

簡易説明

ペルツズマブ(遺伝子組換え)はHER2陽性の乳がんなどに用いられる抗悪性腫瘍薬です。乳がんや大腸がんではがん細胞表面にHER2と呼ばれるタンパク質が発現しています。HER2単独でがん細胞の増殖シグナルを活性化しますが、HER3と二量体を形成することでさらに強力なシグナル伝達が活性化されます。ペルツズマブ(遺伝子組換え)はこのHER2とHER3が二量体を形成するプロセスを阻害する作用を持ちます。

処方可能な診療科目

腫瘍内科など

健康保険の適応

健康保険適応

病院で処方してもらう時の費用目安

診察料などの目安  :約2,000円~3,000円
薬代1瓶あたりの目安:420mg約206,472円
薬代後発薬1瓶の目安:現在ジェネリック医薬品の製造はありません。
病院によって差が有り薬代の他に、初診料・診察料・検査料などが必要になる。

厚生労働省による認可、または発売年月日

発売年月:2013年9月

国内のジェネリック認可

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

関連製品(先発薬)

パージェタ点滴静注420mg/14mL【製薬メーカー:中外製薬】

関連製品(ジェネリック)

現在ジェネリック医薬品の製造はありません。

効果・作用

ペルツズマブ(遺伝子組換え)はHER2陽性の乳がんなどに用いられる抗悪性腫瘍薬です。
様々な要因によってDNAに異常が起こり、それによって無限に増え続け(増殖)、別の臓器や器官に移動(転移)する細胞をがん細胞と呼びます(様々な要因に関しては、多段階発がん、がん遺伝子、がん抑制遺伝子、遺伝子突然変異などが挙げられます)。通常の細胞では、異常が起きたり老化したりすると細胞が自ら破壊されるアポトーシスと呼ばれる現象で排除されますが、がん細胞はそのアポトーシスから逃れる機能を持っていて、異常な状態になっているのにも関わらず増殖し続けます。つまり1つのがん細胞が発生すると、1つが2つに、2つが4つに、4つが8つに分裂しといった形で二次関数的に増殖してしまうため早期の段階で増殖を止める必要があると言えます。
乳がんでは約15~25%、大腸がんでは約2~3%の割合でがん細胞表面にHER2と呼ばれるタンパク質が発現しており、HER2単独でがん細胞の増殖シグナルを活性化しますが、HER3と呼ばれるタンパク質と二量体を形成することでさらに強力なシグナル伝達が活性化され、がん細胞が増殖していきます。ペルツズマブ(遺伝子組換え)はHER2とHER3が二量体を形成するプロセスを阻害することでがん細胞の増殖をブロックできます。

使用方法

・HER2陽性の乳がんのケース
成人(15歳以上)のケース:その他の抗悪性腫瘍剤とトラスツズマブ(遺伝子組換え)との併用においては、ペルツズマブ(遺伝子組換え)として1日1回、初回投与時には840mgを、2回目以降は420mgを60分の時間をかけて点滴静注します(3週間間隔)。ただし、手術前、手術後薬物療法のケースでは、投与期間は12ヶ月間までとしてください。なお、ペルツズマブ(遺伝子組換え)の初回投与忍容性が良好な場合は、2回目以降の投与時間は30分間に短縮しても問題ありません。

・がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行、再発の結腸がん、直腸がん
成人(15歳以上)のケース:トラスツズマブ(遺伝子組換え)との併用において、ペルツズマブ(遺伝子組換え)として1日1回、初回投与時には840mgを、2回目以降は420mgを60分の時間をかけて点滴静注します(3週間間隔)。なお、ペルツズマブ(遺伝子組換え)の初回投与忍容性が良好な場合は、2回目以降の投与時間は30分間に短縮しても問題ありません。

<使用上の注意>
■HER2陽性の乳がんのケース
・トラスツズマブ以外のその他の抗悪性腫瘍剤を中止した後にペルツズマブ(遺伝子組換え)を使用する場合には、トラスツズマブと必ず併用してください。
・ペルツズマブ(遺伝子組換え)と併用するトラスツズマブ以外の抗悪性腫瘍剤は、添付文書の「17.臨床成績」を熟知した上で選定してください。

■全てのケース
・ペルツズマブ(遺伝子組換え)の単独投与で有効性や安全性は確立されていません。
・予定された投与日から遅れてしまった場合、前回投与日からカウントして6週間未満の場合には、420mgを投与します。前回投与日からカウントして6週間以上の場合には、初回投与量と同量である840mgで投与を行ってください。なお、それ以降は420mgを3週間間隔で投与してください。

副作用

重大な副作用
次に挙げるような重大な副作用が引き起こされる可能性があります。使用中は健康状態を常に意識し、万が一体調の悪化を感じた場合には使用を中止、または医療機関を受診するなど適切な処置を行ってください。
・Infusion reaction
※Infusion reaction(寒気、発熱、だるさ、悪心、倦怠感、紅斑、血圧上昇、呼吸困難など)が引き起こされる可能性があり、ペルツズマブ(遺伝子組換え)投与中又または投与開始後24時間以内に発症する可能性が高いと報告されています。また、2回目以降の投与時にもInfusion reactionが引き起こされる可能性があります。これらの異常が確認されたケースでは投与速度を遅くしたり、投与自体を中断したりして適切な処置を行いつつ、症状回復まで状態をしっかりとモニタリングしてください。重篤なケースでは投与を直ちに中止し、それ以降はペルツズマブ(遺伝子組換え)を再投与しないでください。
・白血球減少症、好中球減少症
※白血球減少症、好中球減少症が引き起こされる可能性があり、それによって感染症を引き起こし死亡に至ったケースも報告されています。
・間質性肺疾患
・アナフィラキシー、過敏症
・腫瘍崩壊症候群

その他の副作用
次の副作用が引き起こされる可能性があります。
・腎臓系:排尿困難
・血液系:血小板数の減少、貧血、ヘモグロビンの減少、血小板の減少、リンパ球の減少
・眼:眼の乾燥感、なみだの増加、結膜炎、視力の障害、霧視、視力の低下
・精神神経系:感覚マヒ、味覚障害、末梢性ニューロパチー、頭痛、錯感覚、浮動性めまい、不眠、神経毒性
・消化器系:悪心、下痢、嘔吐、肛門周囲のかゆみ、食欲減退、腹痛、口内炎、便秘、肛門周囲の疼痛、消化不良、お腹のハリ、口腔内の乾燥感、肛門の炎症、嚥下困難、胃腸炎、肛門出血、胃食道逆流性疾患、くちびるの炎症
・呼吸器系:上気道感染、鼻血、呼吸困難、咳嗽、鼻の乾燥感、口腔咽頭痛、胸水、発声障害
・皮膚系:紅斑、発疹、脱毛症、爪の障害、かゆみ、皮膚炎、皮膚の乾燥感、爪の感染症、皮膚色素過剰、ざ瘡
・循環器系:ほてり、駆出率の減少、血圧上昇、動悸、心不全、息切れ、左室機能不全、静脈炎、頻脈、うっ血性心不全
・肝臓系:ASTの増加、ALTの増加、γ-GTP増加
・その他;インフルエンザ様疾患、関節の痛み、だるさ、無力症、熱感、粘膜障害、むくみ、発熱、注入に伴う反応、四肢痛、悪寒、蜂巣炎、低マグネシウム血症、月経障害、体重の減少、背部の痛み、低カリウム血症、尿路感染、脱水、カンジダ感染、筋力の低下、注射部位における反応、体重の増加、ヘルペスウイルス感染、胸部不快感、筋骨格痛、体液貯留、筋けいれん、リンパ浮腫

※その他、異変を感じた場合は直ぐに医師の診察を受け指示に従ってください。

使用に注意が必要な方
使用出来ない方

使用が出来ない方
・ペルツズマブ(遺伝子組換え)を配合した医薬品の成分、添加物に、アレルギーをお持ちの方
下記、成分、添加物にアレルギーをお持ちの方、パージェタ点滴静注はアレルギー反応を起こしてしまう為、使用できません。
▼パージェタ点滴静注の有効成分
ペルツズマブ(遺伝子組換え)
▼代表薬の添加物
精製白糖、氷酢酸、L-ヒスチジン、ポリソルベート20

・妊娠している方または妊娠している可能性のある方
※動物試験(サル):羊水過少、胎児死亡、流産、胎児の腎形成不全などが確認されています。また、ペルツズマブ(遺伝子組換え)が胎児の血液中から検出されています。

使用に注意が必要な方
・高血圧を患っている方、またその経験のある方
・うっ血性心不全や重篤な不整脈を患っている方、またはその経験のある方
・アントラサイクリン系薬剤を使用したことのある方
・左室駆出率(LVEF)が低下している方
・胸部への放射線治療をしたことのある方
・冠動脈疾患を患っている方、またその経験のある方
・授乳している方
・生殖能を持っている方
・小児など
・高齢者

上記にあてはまる方は、ペルツズマブ遺伝子組換えを使用する事が出来ない可能性があります。
ペルツズマブ遺伝子組換えを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬

併用注意薬
・アントラサイクリン系薬剤
※心不全など、心臓へ障害が引き起こされる可能性があります。

上記を使用している方は、ペルツズマブ遺伝子組換えを使用する事が出来ない可能性があります。
ペルツズマブ遺伝子組換えを使用する前に、医師又は薬剤師に使用しても問題ないか必ず確認をして下さい。

併用禁忌薬
現在併用禁忌薬に該当する医薬品はありません。

併用禁忌薬に入ってないからといって、その他の医薬品と併用するのは危険です
現在、薬を服用している場合は、併用可能かどうか必ず医師に相談してください。

ペルツズマブ遺伝子組換えに関する
よくある質問
ペルツズマブ(遺伝子組換え)の心臓に対する副作用対策はありますか?

心エコーなどの心機能検査を行って、患者さんの状態(左室駆出率の変動など)を十分にモニタリングし、異常が確認された場合には、減量や休薬などの適切な対応をとってください。パージェタ点滴静注 【パージェタ点滴静注 添付文書】

ペルツズマブ(遺伝子組換え)はHER2陰性の乳がんケースでも使用可能ですか?

HER2陽性が確認された患者さんに必ず使用してください。パージェタ点滴静注 【パージェタ点滴静注 添付文書】

参考元一覧

パージェタ点滴静注 【パージェタ点滴静注 添付文書】

サイト利用に関する注意事項

医薬品を使用する場合、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
医薬品を使用し、体調不良が現れた場合、我慢せずに直ちに医師の診察を受け、指示に従って下さい。